「森友問題」「赤木ファイル」全文(と称するもの)の考察(2021/08/08)

2021年6月22日(火)に原告側に届き、報道された、「赤木ファイル」。

その全文(財務省がようやく裁判所の指示で黒塗りの上に提出したもの)は、一般の人間にはすぐに確認することができなかったが、その二日後に行われた、「国対ヒアリング」の流れで、「石垣のりこ後援会」さんがDropboxでアップしてくれていて、ネットで閲覧することができた。

【国対ヒアリング】6月24日(木) 14:00~通算第56回「森友問題再検証チーム」ヒアリング

立憲民主党ホームページ、”同”、2021年6月23日。【国対ヒアリング】6月24日(木) 14:00~通算第56回「森友問題再検証チーム」ヒアリング – 立憲民主党 (cdp-japan.jp)(参照2021-06-25)

NORIKOROCK石垣のりこ後援会さんはTwitterを使っています 「https://t.co/yEIeBscGPz https://t.co/lj9i9vDbEu」 / Twitter

https://twitter.com/norikorock2019/status/1407939547153846284(参照2021-06-25)

これらの公開された資料を参考にし、これまでの情報を踏まえた上で、「赤木ファイル」の内容について、気になった点を述べ、考察をしたい。

[公開:2021/08/08]

当記事の内容は、

【国対ヒアリング】6月24日(木) 14:00~通算第56回「森友問題再検証チーム」ヒアリング
については、同上からのYouTubeリンク:2021年6月24日 通算第56回「森友問題再検証チーム」ヒアリング – YouTubeを、

赤木ファイル
については、同上からダウンロードしたファイル「本省の対応(調書等修正指示).pdf」を

参照しています。

なお、「石垣のりこ後援会」さんによるスキャン版である「本省の対応(調書等修正指示).pdf」については、白紙のページが1ページ抜けているとの報告があること(未確認)や、一部、スキャン時のズレで下隅のページ数が見えなくなっているところがあるようなので、引用する際は、PDFページではなく、原稿下隅にある(と思われる)ページ数で引用元を示すこととします。

「赤木ファイル」は誰のものか?

内容に踏み込む前に、「赤木ファイル」の所有権について考えてみたい。

「赤木ファイル」はいったい、誰のものなのか?

財務省は、これまで、「赤木さん個人が所有していたもの」と答えてきた。そのように説明すれば、「だから文書は見つからずに、提出要求に応じることができなかった」と言い訳できると(姑息に)考えているのだろう。

しかし本当に、「個人が所有していた」のであれば、私物であり、当人(あるいは遺族)に確認しなければならない。勝手に処分することは許されないし、ましてや、勝手に黒塗りすることは器物損壊に当たる可能性がある。

しかも、財務省は、これまで長期にわたり、国会や遺族の要求に対し、その存在を含めて回答をしなかった。言ってみれば、財務省は「赤木ファイル」についての所有権を主張してこなかった。

これでは、財務省自身が、「赤木ファイル」の所有権を放棄していた、と受け取られても仕方がないだろう。

理屈としてはこうなるが、「公文書等の管理に関する法律」(公文書管理法)では、「行政文書」とは、「行政機関の職員が職務上作成し、または作成した文書」「であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているもの」と定義している。[公文書等の管理に関する法律。「第一章 総則 第二条 4」。]

「公文書等の管理に関する法律」については、

電子政府の総合窓口e-Gov、”公文書等の管理に関する法律(平成二十一年法律第六十六号)”、施行日: 平成二十九年四月一日。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=421AC0000000066(参照2021-06-29)

公文書管理法では、公文書について、

(前略)公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものである(後略)

同上。「第一章 総則 (目的) 第一条」(抜粋)。(参照2021-06-29)

と定義し、行政機関の職員に対して、

(前略)当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、次に掲げる事項その他の事項について、文書を作成しなければならない。

同上。「第二章 行政文書の管理 第一節 文書の作成 第四条」(抜粋)。(参照2021-06-29)

と義務付けている。

「赤木ファイル」は、公文書管理法から見ても、

赤木氏の視点で、(改ざんという違法行為だとは言え)「経緯を含めた意思決定に至る過程」を、「合理的に跡付け、又は検証することができるよう」にまとめられたもの

であり、

民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源

である。

「赤木ファイル」とはいったい誰のものなのか?

この問いの答えは、

(赤木さんとその遺族も含めた)国民のもの

だ。それを公開せずに独占することは、財務省による私物化でしかない。

補足)
「赤木ファイル」は、原告側から関係者やマスメディアに提供され、内容について報道されたようだが、全文の公開が、マスメディア等のホームページで確認できなかった(個人的な確認)のは、以上のような、所有権の曖昧さがあったが故である可能性がある。この点に関する考察については、前回記事を参照。

予想していてた内容と実際の結果の答え合わせ

「赤木ファイル」の内容について、公開される以前、私はいくつかの予想をしていた。

「森友問題」「赤木ファイル」に何が書かれているかの考察(2021/05/14)

当ブログ記事、”同”、2021年5月14日公開。http://t-hajime.webstarterz.com/kanadehonmoritomo-akagifile-written-20210514/(参照2021-07-14)

まずは、その予想が当たっていたのか外れていたのかについて、確認しておきたい。

改ざんを開始した時期の特定はできたのか

財務省による「改ざん報告書」では、改ざんを開始した時期(近畿財務局が一連の改ざんに取り掛かった時期)を曖昧にしている。

森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書(平成30年6月4日)(PDF:9269KB)

財務省ホームページ、 広報・報道 > 大臣談話・ステートメント > 大臣談話・スピーチ、決裁文書の改ざん等に関する調査報告書について、”同”。https://www.mof.go.jp/public_relations/statement/other/20180604chousahoukoku.pdf(参照2021-07-14)
財務省の改ざん報告書(同上)のp30(pdfページ33)の一部をスクリーンショットで切り抜いたうえ、引用者により、説明を加えた(2021-05-10加工)。上記”「森友問題」「赤木ファイル」に何が書かれているかの考察(2021/05/14)”からの再引用。

今回公開された「赤木ファイル」には、冒頭に、一連の経緯を説明し、改ざんした内容について、分かりやすいように表でまとめている。その表では、最初の日付が、「29年2月26日(日)」となっている。

「本省の対応(調書等修正指示).pdf」[同上、p1]の一部をスクリーンショットで切り抜いたうえ、引用者により、該当部分にマーカーを加えた(2021-07-22加工)。

財務省の改ざん報告書では、この2月26日からの改ざんは、上で示した近畿財務局で改ざんをスタートさせた件とは別件であることになっている。

財務省の改ざん報告書(同上)のp24(pdfページ27)の一部をスクリーンショットで切り抜いたうえ、引用者により、説明を加えた(2021-05-10加工)。

これを見る限り、赤木ファイルでは、この件を明らかにできなかったようだ。

しかし、疑問は残る。この期間のことを、赤木氏は記録に残していなかったのだろうか。

赤木ファイルの冒頭の表では、平成29年2月26日を始まりとしているが、プリントアウトされたメールのやり取りで、一番最初のものは、2017年2月16日深夜のものになっている。[赤木ファイル、p517-518]

内容は、本省理財局内でのやり取りメール(黒塗り同士)を、本省理財局の職員(黒塗り)から近畿財務局にそのまま転送した形で、赤木氏は、四人いる(黒塗り含む)宛先の一人となっている。その後、日付が変わって2月17日未明の内に、近畿財務局側(黒塗り)から、財務省理財局側(黒塗り)からのそのメールでの依頼にこたえるデータを添付した返信メールが3通あり、その3通が赤木氏にもCC(カーボンコピー)で共有されている。

ところが、その次のメールは、「2月26日(日)15:48」[赤木ファイル、p503]の表記で、十日近くの空白がある。

この2/17~26にかけての期間こそ、改ざんの意思決定、改ざんの命令系統を明らかにするうえで重要であるのに、赤木ファイルでは空白になっている。

残念ながら、私が注目していた点、「財務省が改ざんに取り掛かった時期の特定」については、

「赤木ファイル」をもってしても、財務省(近畿財務局)が改ざんをスタートさせた時期を特定することができず、謎のまま残った。

この件は、赤木氏以外の当事者の証言によって明らかにするしかないだろう。

(もっとも、これは、生存している当事者が答えてくれれば、すぐに解消する程度の謎なのだが、なぜか財務省は当事者への取材を拒否し、改ざん報告書以上のことをかたくなに答えようとはしていない。)

局長(当時)が改ざんを認識した時期は特定できたのか

財務省の改ざん報告書では、佐川局長(当時)が改ざんを認識した時期を特定していない。

報告書では、佐川氏は当初改ざんを認識していなかったことにしている(そしてそのことが考慮されたように犯した罪の重さに対しての処分が軽くなっている)。「改ざんを当初認識していなかった」ことが事実なのであれば、当然、「その後、改ざんを認識した時期はいつなのか」という疑問に答える必要があるのに、報告書では十分な確認をしていない。

報告書では、「遅くともこの時点(引用者注:3月20日)までには、理財局長も、決裁文書の書き換えを行っていることを認識していたものと認められる」[同上、p28、PDFページ31]としているだけで、本当に本人に聴取したのかを疑ってしまうような書き方だ。

認識した時期を特定できないということは、その設定(当初改ざんを認識していなかったこと)自体が誤りである疑いが出てくる。これでは財務省は真実を明らかにする意思が全くないと言われても仕方がない。改ざんの指揮命令系統を明らかにするうえでも、何の役にも立たない。(もっとも、佐川氏は証人喚問でもこの質問には「訴追の恐れ」を理由にして答えていないが。)

だからと言って、今回の赤木ファイルで、佐川氏の意向が明らかになることを期待するのは、もともと無理筋だった。

そもそも赤木氏は、近畿財務局の職員であり、佐川氏からの指示は、本省理財局の役人と近畿財務局の役人を何重にも通したものになり、佐川氏の意向を直接知る立場にはない。

実際、赤木ファイルの冒頭の記述では、「本省で、議員からの資料要求に対する佐川理財局長への説明過程や、同局長からの指示等の詳細が当局に還元(説明なし)されず、詳細が不明確なまま、本省審理室(担当補佐)からその都度メールで投げ込まれてくるのが実態。」[赤木ファイル、p1]と、佐川局長の意向等が不明確なことについて、不信感が見て取れる。

赤木ファイルで、佐川局長の指示や意向が(間接的に)読み取れる場所は、3/20のことで、

・冒頭の表、2017/03/20、指示等内容「売払決議書(売払調書)は佐川局長から国会答弁を踏まえた修正を行うよう指示(調書の開示により新らしい情報を与えることがないよう)があったとのこと」[赤木ファイル、p1。原文ママ]
・メール、2017年3月20日月曜日 22:49。差出人(審理室《黒塗り》)→宛先(赤木氏を含めた6人(近財))、件名:取得要望書について「なお、本日、売払決議につきまして、局長説明を行いましたが、局長からの指示により、調書につきましては、現在までの国会答弁を踏まえた上で、作成するよう直接指示がありましたので、改めて、調書を修正後、局長説明を行う予定です。」[同、P165。改行は省略]

と書かれてある。3/20と言う日付は、財務省改ざん報告書での、「遅くともこの時点までには」という時期と一致している。

逆に言えば、近畿財務局の赤木氏にメールで「局長からの指示」と伝わる状況証拠が残っている時点で、ようやく、財務省の改ざん報告書では、「遅くともこの時点までには」佐川氏が改ざんを認識していた、と、ようやく認定したことになる。これでは「遅くとも」という判断は「遅すぎる」としか言いようがない。関係者に本当に話を聞いたのか、あるいは話した証言を隠蔽しているのか、疑わしい内容だ。

結局のところ、

「赤木ファイル」をもってしても、佐川局長(当時)が改ざんを認識した時期を特定することができず、謎のまま残った。

本気で調査する気があるのなら、佐川氏に確認すればいいだけの話で、それを裏付けるには、その意向を聞いた人間に確認すればいい。少なくとも、赤木氏らにメールを送った本省の職員は「直接指示がありました」と語っているので、確認する必要があるだろう。(もっとも、財務省はこの期に及んで、その職員の名前を黒塗りにしているが。)

「赤木ファイル」が対象とした範囲はどうだったのか

赤木ファイルが対象とする期間について、私は以前、財務省改ざん報告書から読み取れる内容を見て、赤木氏が休日に呼び出された2月26日から、改ざんに強く抵抗を示した3月8日までの期間に、(意図的に)限定されてしまう可能性を危惧していた。[当ブログ記事”「森友問題」「赤木ファイル」に何が書かれているかの考察(2021/05/14)”]

実際には、冒頭の表には、平成29年(2017年)2月26日から4月13日までの内容をまとめられていた。内容も、最初のメールは2月16日深夜から始まり、2/17未明のメールがあってあとは、空白があって、2月26日から再びメール受信が始まり、最終的には、4月17日のメール受信で終わっていた。

赤木ファイル(全文と称するもの)の範囲は、期間としては、2月16日深夜受信メールから、4月17日受信メールまであった(プラス、作成時期は不明だが、それを踏まえて作成されたと思われる冒頭の備忘記録と表)。

私の当初からの危惧は、外れていたことになる。(内容的には疑問点が残るが)。

財務省は、改ざん発覚後の調査に、赤木ファイルを参考にしたのか

財務省は、これまでファイルの存否も含めて回答を拒否していたため、改ざんの調査において、赤木ファイルを参考にしたのかどうかすら答えず、謎のままだった。

ただ、赤木ファイルが公開されると、赤木ファイルを確認するまでもなく、財務省の役人が、国対ヒアリング(2021年6月24日)で、ファイル(の内容)を見ていたことを認めた。

国対ヒアリングでは、小西議員による質問、平成30年の財務省の調査報告書の段階で、赤木ファイルは調査に使ってなかったのか、に対し、財務省の役人が、

ドッジファイルに綴じられた形のものというのは見てなかったのですが、中に綴じられていた文書はすべて把握していた

【国対ヒアリング】6月24日(木) 14:00~通算第56回「森友問題再検証チーム」ヒアリング
2021年6月24日 通算第56回「森友問題再検証チーム」ヒアリング – YouTube、25:54ごろ~。引用者による書き起こし。

と答えていた。

「ファイルは見ていないが、ファイルの中身は見ていた」という、意思疎通をするつもりが一切ない、犯行の自白に近い言い訳、という感想しかない。

いずれにせよ、財務省は、改ざんの調査に当たり、赤木ファイル(の中身)を参照していたことが、初めて明らかになった。

改ざん対照表での「差替前」との書き込み原本の謎

財務省が赤木ファイルを参考にしていたことは分かったのだが、その一方で、念のための確認をしたい点が残っていた。

財務省は改ざんを認める(2018年3月12日)と同時に、改ざん前後の対照表『決裁文書の書き換え状況』[財務省、”同”、平成30年3月12日。201803B.pdf (mof.go.jp)]を発表しているが、その中で、改ざん前のページで、「差替前」と手書きで書かれた文書を掲載している。[同、p20、PDFページ21]

当たり前だが、真の原本に、もともと「差替前」と書かれている訳がない。「差替前」と書くのは、改ざんを意図しない限りあり得ない。さらに言うと、当時は、まだ、大阪地検による捜査中であり、財務省は原本は手元にはないという言い訳をしていたが、大阪地検に「差替前」と書いた原本を提出するはずもない。

それなのに、財務省は、改ざんを認めて改ざん前後の対照表を出す際に、そのページだけ「差替前」と書き込みのある「原本」を掲載していた。このことはずっと気にかかっていた。

そして今回、赤木ファイルが公開されたことにより、赤木ファイルの中に該当するページが存在するのか、そしてそれには書き込みがあるのかどうかを、ようやく確認することができた。

結論を言うと、そのページには、書き込みはなかった。[赤木ファイル、p506]

「決裁文書の書き換え状況」[同上、p20、PDFページ21]と「赤木ファイル」[同上、p506]のそれぞれのスクリーンショットの一部を切り抜いて並べた上で、引用者により説明を加えた図。縮率を一部変えています。(作成2021-08-06)

赤木ファイルに綴じられているのは、2017年2月17日未明に、近畿財務局から本省審理室に送ったメールが赤木氏にもCCで共有され、その添付データをプリントアウトしたと思われるもの。対照表での文書と見比べてみると、赤木ファイルのものは「差替前」との書き込みがなく、また、文章を1行ごとにチェックしたと思われる印(手書き)が一致しているので、両者は、共通の原本からのコピーである(もしくはどちらかが原本で片方がコピーの)関係であることが分かる。

該当の文書を含んだメールは審理室内で複数の職員にCCで共有されている。そして財務省は、赤木ファイルの内容を把握していたと言いながら、財務省は改ざんの対照表を出す時に、該当部分のページで、あえて、「差替前」と書き込みがあるページを改ざん前の「原本」として出したことになる。「差替前」との書き込みのないデータが存在していたのにもかかわらず。

もちろん、「画像が汚くて見にくいからきれいな画像にした」という言い訳も可能だろう。

だが、時系列を考えたとき、改ざんの疑いが報じられ、財務省がすぐには改ざんを認めない中で、職員(赤木氏)の自殺報道がされ、ようやく週明けに財務省は改ざんを認めると同時に、この完成された対照表を提出した。返す返すも悔やまれるのは、財務省がすぐに改ざんを認めていれば、赤木氏は死なずにすんでいた可能性が高い、ということだ。こんな対照表を完成させる余裕があれば、すぐにでも改ざんを組織で行っていたと認めておくべきだった。この時にすら、何らかを隠そうとしたのではないかという疑問は、これまでの経緯からしても、当然、残る。

少なくとも、財務省には、「差替前」書き込みアリ原本、赤木ファイル原本、大阪地検提出原本の三パターンが存在すると見ていいだろう。

そして、財務省が改ざん公表時に、このページだけ、「差替前」と書き込み済みの「原本」を出した不自然さは、解消されずに残ったままである。

補足)
「決裁文書の書き換え状況」については、読んだ時、これとは別に疑問点があった。後半の方ほど、句読点の打ち間違えなどの単純ミスが目立ったことだ[当ブログ記事”「森友問題」で今日分かったことのまとめと考察(2018/03/12)”参照]。すべて確認した訳ではないが、後半部分は、本省理財局の職員や本省から出向してきた近畿財務局の職員が中心に作業をしていたと考えられるので、本省の職員が雑な仕事をしていたことになる。改ざん作業が「仕事」であるわけもなく、雑になってしまうのも当然だが、真面目に仕事をしてしまった人が罪の意識に追いやられて自死を選んでしまった状況を考えると、憤りしかない。

赤木ファイルで明らかになったこと

赤木氏は、地方局の一員であり、途中からこの件の担当になっていた。本省で起こったことや、前任者の時に起こったことを、すべて把握しているわけではないので、限界はある。(黒塗りとは言え)赤木ファイルが公開されたからと言って、広範な問題を含む森友事件の全容が明らかになるはずはない。

ただ、状況証拠として、この問題で残っている謎を解明する手がかりになってくれる。

佐川氏指示メールの存在

2018年3月2日に、朝日新聞により、財務省が改ざんしている疑いが報道されて以降は、ほぼ、朝日新聞の独断場ともいえる状況だったが、マスコミ各社も、独自の情報を報じていた。

朝日新聞以外では、NHKや毎日新聞が独自ニュースを報道していた記憶があるが、個人的に意外だったのは、日テレNEWS24が、いくつもの独自ニュースを連発していたことだ。

当ブログでも、それらのニュースに触発されて
「森友問題」日テレNEWS24の独自スクープの現時点での考察(2018/03/29)
「森友問題」日テレNEWS24の「口裏合わせ」報道の考察(2018/04/07)
「森友問題」日テレNEWS24の「500ページ以上の交渉記録」スクープのまとめと考察(2018/05/09)
と、いくつか考察の対象となって取り上げている。[当ブログ記事]

その中で、2018年3月29日に報じられた、

日テレNEWS24、”独自:“改ざん”佐川氏指示窺わせるメール”、2018年3月29日 11:38。

独自:“改ざん”佐川氏指示窺わせるメール|日テレNEWS24(参照2021-08-06)

は、日テレNEWS24での独自ニュースだった。

その後も、佐川氏が指示したかどうかという点については、報道でも、各社、ブレがあった。[当ブログ記事”「森友問題」佐川氏の了承が「事前なのか事後なのか」で報道が分かれたことの考察(2018/04/25)”参照]。どれが正解なのか分からない状況だった。

結局、佐川氏が指示したかどうかについては、証人喚問でも、財務省の改ざん報告書でも、曖昧なままにされ、明らかにはならなかった。財務省の報告書では、佐川氏は、「方向性を決定づけた」ということで処分され、具体的な指示を出したことは言及されていなかった。

そして、報じられた「佐川氏指示窺わせるメール」についても、財務省の改ざん報告書には具体的に記載されておらず、同時期に公表された応接録等にも含まれていなかった。

疑問はずっと解消されないままだったが、今回、赤木ファイルに、「局長からの指示」という文面があるメールが存在した。2017年3月20日付深夜に、審理室の(黒塗り)から、近畿財務局の赤木氏を含む職員6人に贈られたメールで、CCで本省と思われる職員6人に共有されている。[赤木ファイル、p165]。

これは、2018年3月29日に日テレNEWS24で報じられた「佐川氏指示窺わせるメール」に当てはまるものだった。

3年以上前に報道されただけで、その後ずっと不明だった「佐川氏指示メール」だが、存在することがようやく明らかになった。

逆に言えば、財務省は、改ざんを認めた上でなお、自殺した職員の遺族に損害賠償を請求されて裁判所に指揮されるまで、この資料を3年以上も隠し続けていたことになる。

配下職員の改ざんへの抵抗の様子

財務省の調査報告書では、配下職員の改ざんへの抵抗について、やや、分かりにくい記述が続いている。

配下職員が改ざん作業に対して反発した日付については、

(前略)「平成29年3月8日(水)までに管財部長に相談した」[財務省改ざん報告書、p27、PDFページ30]

と、「までに」という表現で、幅を持った表現をしている(日付を特定していない)。

さらに、その相談の結論として、

(前略)「配下職員はこれ以上作業に関与させないこととしつつ、本省理財局が国会対応の観点から作業を行うならば、一定の協力は行うものと整理された」[同、p27-28、PDFページ30-31]

としつつも、その後、平成29年3月20日に議論が行われたその時期に、

(前略)「配下職員による本省理財局への反発がさらに強まっていたため」[同、p28、PDFページ31]

と、記述されている。

「作業に関与させない」と整理したのにもかかわらず、その後に、「反発がさらに強まった」、という矛盾した内容だ。

これは、事実上、配下職員に対して「これ以上作業に関与させない」と言いながら、その後も作業を強いていたことが読み取れる。

報告書でのこれらの分かりにくい記述に対し、赤木ファイルでは、冒頭の文章で、

(前略)「3月7日午前、速やかに部長に報告。」[赤木ファイル、p1]

と備忘記録を残しており、日付を明記している。

さらに、3月8日付メールは、赤木氏が送り主で、本件対応について部長に報告したことと、さらに、(審理室)「室長から、部長に電話連絡があったと聞いております」という内容を、(黒塗り)補佐を送り先にし、さらにCCで関係者にも届けている。[赤木ファイル、p223]

その後も、日付が変わって3月9日未明付の本省からのメールが赤木氏にCCで届いているが[赤木ファイル、p167]、その後は、間が空いていて、次に届いたのが、3/20のメール、例の「局長からの指示」の文面があるメールだった。[赤木ファイル、p165]

つまり、本省理財局側は、3/8の時点で「これ以上作業に関与させない」と結論付け、しばらくメールを送らなかったのにもかかわらず、3/20になって「局長からの指示」のメールを送って、作業を強いたことがことが読み取れる。

財務省報告書は、この3/20の「局長からの指示」メールを記載していない。

そのため、3/8にこれ以上「関与させない」と結論付けているのに、突然、3/20に「反発がさらに強まっていた」と出てきて、不自然だった。その間に、「局長からの指示」メールがあったのなら、話はつながる。

赤木ファイルからは、

配下職員が、管財部長に相談した日付を「3月7日」と特定でき、反発がさらに強まった理由を「局長からの指示」メールであったことが明らかになった。

しかし、報告書では、これらのことを特定もしていなけば、言及もしていない。

財務省が、赤木ファイル(の中身)を見たうえで、この報告書を書いたのだとすれば、文書作成能力に欠けているか、隠ぺいする意思を持っていたか、あるいはそのどちらでもあったと言えるだろう。

「現場として厚遇した事実もない」という事実

赤木ファイルの冒頭の備忘記録には、

「現場として厚遇した事実もない」[赤木ファイル、p1]

とある。

この一文をもって、「厚遇は無かった」と恥ずかしげもなく主張する人がいるようだが、いろいろなものが足りていないのだろう。

「現場として厚遇した事実もない」ことは、「厚遇した事実がない」こととイコールではない。

そして、「現場として厚遇した事実もない」のに、「厚遇した事実がある」場合は、

「現場ではない所が厚遇した事実がある」

との結論になる。

赤木氏は、途中からこの件の担当になった配下職員であり、広範な森友問題のすべてをカバーしていたわけではない。直接参加した現場以外で、厚遇があった事実を知る由もない。

言ってみれば、

赤木氏は(自分が)厚遇した事実がないからこそ改ざんに抵抗し、
本省職員は(自分たちが)厚遇した事実があるからこそ改ざんを命じた

という「事実」があるに過ぎない。

その一端がうかがえるのは、赤木ファイルでの冒頭の備忘記録での表のNo.10の項目だ。[赤木ファイル、p2]

その指示等内容の欄には、

検査院受験日の初日の朝、急きょ本省(《引用者注:黒塗り》補佐)から指示を受けた次長から「経緯」の一部(28.3.11)を削除(理由等は不明)

赤木ファイル、同。p2。

とある。

本省からの指示で、慌てて「経緯」の一部を削除した様子がうかがえ、赤木氏は、それに対して「理由等は不明」と、ある意味、正直に述べている。

この、「28.3.11」の日付については、この問題を追ってきている者であれば、籠池氏が「新たなゴミが出てきた」と国側に連絡をした日であることが、すぐに分かる。いわゆる、「ごみストーリー」の展開日だ。(「ごみストーリー」については、正直、私も、過去、ミスリードされてきた面は否めない。私自身の見解も二転三転してしまっているが、現時点での最新の考察は、当ブログ記事”「森友問題」8億円値引きごみストーリーにおける国土交通省の関与についての現時点でのまとめと考察(2020/04/08)”参照)

赤木ファイル[p2、p9]のスクリーンショットを一部切り抜いて枠を付けて並べ、引用者により赤字で説明を加えた(加工2021-08-08)

ここでの、本省が慌てて経緯の一部を削除した点と、赤木氏が「理由等は不明」とした点は、

・本省は「ごみストーリー」を把握し、問題だと思っていた
・赤木氏は「ごみストーリー」について把握していなかった

ことの証拠になる。

赤木ファイルでの冒頭の、「現場として厚遇した事実はない」は、

「(現場ではない)本省理財局が厚遇した事実がある」

との証言なのである。

森友問題での「公租公課」に関する謎ふたたび

赤木ファイルの構成は、冒頭に備忘記録として記録した理由とまとめの表が2ページあり、あとは、指示内容のメールとそれに添付された修正事項のやり取りが組織として共有されて積み重なっている。(改ざんという行為とは言え)作業の経緯を跡付けできるようにまとめられた、国民の財産である行政文書だ。

ところが、その赤木ファイルの中で、前後の脈絡がない、メールが1通、混じっていた。

「件名:公租公課の取扱について」[赤木ファイル、p499]

だ。

2月16日深夜、翌17日未明に行われたメールのやり取りで始まった赤木ファイルは、その後、時間を空けて、2月26日(日)15:46のメール[赤木ファイル、p503]から本格的な改ざん作業に入ることになるが、そのメールの添付資料のプリントアウトだと思われる途中に、この「公租公課の取扱について」17:13のメールが挟まれている。

時系列的に、15:46のメールの添付資料に、17:13の「公租公課」メールが含まれていることはありえないので、プリントアウトした際の入れ違いか、後になってファイルで綴じる際に入れ込んだか、と、「普通」ならそう解釈して納得するだろう。

しかし、「普通」ではないのが森友問題。しかも、「公租公課」の件は、森友問題においては、「普通」ではない経過をたどっている。

私が、森友問題における公租公課の件で、不可解さを感じたのは、会計検査院が「その後の検査」(平成30年報告)で、この件を全く無視していたことだった。

そこで、森友問題における公租公課の件について、改めて復習すると、

・公表されたのが、財務省が一連の改ざんを認めた二日後(2018年3月14日)
・抜取りが行われたのが、一連の改ざんより2年ほど前(2015年6月)
・メモを見ると、「理財局国有財産審理室より」「(以下、業務課見解)」との文字が並び、本省理財局の課を横断して取り扱いが検討されているが、この件に関しての記録は本省からは出て来ておらず、近畿財務局にある資料からしか出てきていない
・改ざん発覚前の会計検査院検査(平成29年報告)では、公租公課を考慮しなかったことについて問いただしているが、財務省側は「考慮していなかった」、「把握していなかった」と、虚偽の答えをし、検査院もそのまま受け入れている
・改ざん発覚後の会計検査院「その後の検査」(平成30年報告)では、この文書を意図的に抜き取っていたことも明らかになっていたのに、この件に全く触れていない
・抜取りが行われた当時の近畿財務局の総務部長は、前年の本省相談メモで「業務課長了」とした当人
・後の改ざんで「中核的役割」を果たす本省理財局総務課長は、当時国有財産企画課課長で、公租公課メモ作成日の約1か月前(2014年12月8日)に近畿財務局から架電を受けている記録が黒塗りで残っている

など、偶然では片づけられない不可解なことが多い。

[当ブログ記事
「森友問題」会計検査院報告「その後の検査について」(2018/11/22)から抜け落ちた「公租公課」について
「森友問題」テレビ東京による「財務省不開示文書入手」ニュースから分かったこと(2019/11/05)
ほか参照]

そこにさらに、今回の、赤木ファイルだ。

[財務省、平成30年3月14日付け資料(PDF:198KB)]、[赤木ファイル、p499]のそれぞれのスクリーンショットを切り抜いて配置した図。引用者により、赤い線でマーカーを付け、説明を加えています。(加工2021-08-08) 

前後のつながりもないまま、「公租公課の取扱について」のメールが、不自然な位置に挟み込まれている。

このメールは、近畿財務局の管財総括第1課の職員が、本省の《黒塗り》補佐に対して送ったもので、CCで赤木氏を含めた6人の近畿財務局職員に共有されている。メールの添付ファイルは、プリントアウトされていないようなので、具体的な内容は分からない。また、前後の脈略がないので、なぜ送ったのか、依頼されたのか、その後の受け取りの反応はどうだったのかは、全くの不明だ。

たまたまそこに紛れ込んだのか。
あとから意図的に挟み込んだのか。
前後を抜き出してそれだけ残ったのか。

「普通」なら、何らかのミス、偶然たまたま、と片付けていいのだろうが、「普通」ではない森友問題での、不可解なことが多く残ったままの公租公課の件。

赤木ファイルをもってしても、公租公課の謎は解消されず、新たな謎を生み出すことになった。

(もっとも、これも、生存している当事者たちが説明すればいいだけの話なのだが、財務省は説明を拒み続けている。)

赤木ファイルで解消した謎と深まった謎

以上のように、赤木ファイルでは、解消された謎もあれば、新たに生まれた謎もあった。

今回の公開により、ずっと疑問だった、「佐川氏指示メール」の存在や、財務省調査報告書での「配下職員の反発」の記述への違和感が、ようやく(一部)、解消された。

ただ、その一方、今回の黒塗りでもわかる通り、すべてを開示し、正直に語る姿勢を見せない限り、疑問は解消せず、膨らむばかりだ。

今回も、公租公課メールなどについて、新たな違和感が膨らんだ。

森友問題では、違和感こそが、後の問題解消の説明に結びつく。

そして今回新たに生まれた違和感は、新たな情報でしか解消されない。

更なる情報に期待したい。


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