「森友問題」値引きストーリー考案者の考察(前半)―問題のポイント

架空小説「仮名手本森友学園」

森友問題では、当初、先に民間の記録が流出し、それを国側が無視する、という不誠実なやり取りが繰り返されていた。

しかし、財務省が公文書を改ざんしていたことが明らかになり、その改ざん前の公文書によって、その民間の記録が正しいことが裏付けられた。

このことで、かなりのことが明確になったが、一方で、まだはっきりしていない点がある。その一つが、

「値引きのストーリーの考案者は誰なのか?」

である。この点について、現時点で分かっていることを整理しながら、前半と後半に分けて考察したい。

[公開:2018/05/02、更新:2018/05/12]

1.「値引きストーリー」とは

ここでは便宜上、「値引きストーリー」と名付けたが、これは、

財務省が国有地売却にあたり、「新たなゴミ」が出たことにして土地の売却価格を値引きする「ストーリー」をつくり、関係者が口裏合わせをしようとした

という経緯を指す。

ストーリーという言葉が、報道で出たのは、

2017/08/03 テレビ朝日「報道ステーション」

で、「2016年3月30日の打合せメモ」が報道され、その中に、

「航空局・財務局→彼らのストーリー」

との記述があった。

LITERA、”森友問題に決定的新証拠! 財務省が「国有地0円になるよう努力」を示す音声データ、交渉メモ…佐川国税庁長官は虚偽答弁だった!”、2017.08.04。
http://lite-ra.com/2017/08/post-3363.html
(参照2018-05-01)

その後、音声データが様々な形を経て、公開されていき、2016/03/30とみられる音声データで、

「ストーリーをイメージしている」

と国側から発言していて、関係者が「ストーリー」という言葉で話を進めていたことが明らかになった。

そういった経緯があったことを踏まえて、以上の枠組みを便宜上、「値引きストーリー」と呼ぶことにする。

(個人的には、初め、「口裏合わせストーリー」の用語を用いていたが、その後、近畿財務局から大阪航空局へゴミ増量の口裏合わせ報道があり、その「口裏合わせ」の混同を避けるため、「値引きストーリー」と、以降、呼ぶことにする。)

2.「値引きストーリー」の時系列の整理

時系列の整理(2015/09/04打合せ記録~2016/06/20売買契約)

2015/09/04「打合せ記録」(N道組作成)
近畿財務局(池田ほか)・大阪航空局・Kアラ・N道組

2015/12/03「3つの異なる金額の契約書」の日付
F原工業と契約。N道組撤退。

2016/03/11籠池氏「新たなゴミを発見」→近畿財務局に連絡
2016/03/14近畿財務局・大阪航空局現地確認。籠池氏、本省へ連絡

2016/03/15「財務省本省へ陳情」(録音データ)
籠池夫妻・財務省(田村室長ほか)

2016/03/16「3mより下からごみ」提示(録音データ)
籠池夫妻・Kアラ・F原工業・財務省近畿財務局(池田)・国交省大阪航空局

2016/03/24「S井・池田の価格交渉」

2016/03/30「3mより下にゴミがストーリー」口裏合わせ(録音データ)
籠池夫妻・S井弁護士・近畿財務局池田・大阪航空局・F原工業・Kアラ
2016/03/30近畿財務局→大阪航空局へごみ撤去費積算依頼

2016/04/01「近畿財務局池田からのありがとうメール」
近畿財務局池田→S井・F原工業・Kアラ

2016/04/04大阪航空局現地確認

2016/04/14大阪航空局→近畿財務局ゴミ撤去費約8.2億円

2016/04/15近畿財務局→不動産鑑定士に見積もり合わせ

2016/05/18「グーンと下げないかんよ」(録音データ)
籠池夫妻・近畿財務局池田・三好

2016/05/30不動産鑑定士→近畿財務局「意見価格」1億3400万円。
(「鑑定価格」9億5600万円から近畿財務局が示したごみ撤去費8億1900万円などを差し引いた金額)

2016/06/06 S井→籠池「内緒だが局長の移動」あるからメール

2016/06/20売買契約

補足として、

  • 谷FAXは2015年11月。(証人喚問では枝野議員の質問に対し11月15日と証言)
  • 森友学園と顧問弁護士が契約したのは2016/「3月中旬、15日、16日、その辺だったと思います」

[2018/05/02現在]

[2019/04/21に上記打消し線と追記:上記の補足、谷FAXについて「11月15日と証言」としているが、参院での証人喚問時の証言が「11月17日」であり、また公開されたFAXのヘッダーには「15-11-17」の文字、また2015/11/15が日曜日であることから、正確な日付は11/17である可能性が高い。]

 「森友問題」で今日分かったことのまとめと考察(2018/04/12)からの追記

3.「値引きストーリー」の理解のポイントは?

森友問題では、極端な話、もし映画だったら、

登場人物、全員ウソつき

のコピーを付けたくなるほど、証言の一つ一つに真偽を確認する必要があって、理解するのにややこしい。

だが、基本的な事実を押さえておくと、発言内容にウソの意図を予測できるようになるので、理解の助けになる。

「値引きストーリー」は、2015年の有益費で処理したはずのゴミを、新たなゴミとして値引きの材料にする、というアイデアだ。

ここで押さえておきたい基本的事実は、「2015年のゴミの埋め戻しの打合せメンバー」と「2016年値引きストーリーのメンバー」は、約半分が異なっているということだ。

上記の時系列整理の通りだが、

両方に参加しているメンバー:近畿財務局・大阪航空局・Kアラ設計
2015年のみに参加しているメンバー:N道組
2016年のみに参加しているメンバー:籠池氏・顧問弁護士・F原工業

のグループに分けられる。

このグループでいえば、2015年の打合せに参加しているメンバーは、2015年の有益費で深さ3mまでのゴミは処理しているので、新たなゴミは、建前上、3mより下の、3.8m、9.9mの深さから出たものにする必要があった。

一方、2015年打合せに参加していないメンバーは、その深さにこだわる必要がない。だからこそ、深さにこだわらず、交渉に当たれた。

この、2015年と2016年の参加したかどうかの違いが、それぞれの参加者の立場を推測する重要なポイントになる。

以上、「値引きストーリ」についての、用語の説明、時系列整理、問題の理解のポイント、について書いてきた。

次の後半記事では、そこから現時点で推定される、「ストーリーの主導者」について考察を加えたい。
「森友問題」値引きストーリー考案者の考察(後半)―主導者の考察

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