「森友問題」「決裁文書の改ざん等に関する調査報告書について」(2018/06/04)等について(後編)ー改ざん経緯の考察

架空小説「仮名手本森友学園」

財務省「決裁文書の改ざん等に関する調査報告書について」(2018/06/04)

財務省 トップページ > 広報・報道 > 大臣談話・ステートメント > 大臣談話・スピーチ > 決裁文書の改ざん等に関する調査報告書について、”森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書(平成30年6月4日)(PDF:9269KB)”。
https://www.mof.go.jp/public_relations/statement/other/20180604chousahoukoku.pdf
(参照2018-06-07)

「森友問題」「決裁文書の改ざん等に関する調査報告書について」(2018/06/04)等について(前編)―改ざん前経緯の考察 からの続き

廃棄・改ざんの過程の要旨

  • 平成29年3月以降、会計検査院から、廃棄していない応接録等を提示するよう繰り返し求めがあったが、存在しない旨の回答を続けた。さらに、行政文書と位置付けているかどうかにかかわらず、残されている資料を提出するよう重ねて求めがあり、同年10月から11月にかけて、理財局総務課長の判断により、近畿財務局のサーバ上の電子ファイルの構成に関する資料を提示することとした。ただし、応接録等の電子ファイルの存在には触れなかった
  • 平成29年7月、定期人事異動があったが、実態は説明されなかった
  • 平成29年3月15日(水)衆議院財務金融委員会。平成29年2月8日(水)以降数日間の森友学園側の接触記録を提出するよう要求。総務課長から管財部長に対して相談。作成済みの応接録は、要旨のみに圧縮した応接録を作成しなおすこととし、統括国有財産管理官以下で作業を行った上で、本省理財局経由で提出
  • 平成29年2月21日の国会議員団との面会の対応した、近畿財務局および本省理財局国有財産審理室長の間で、「文書4」「文書5」の政治家関係者に関する記載の取扱いが問題となりえることが認識された
  • その後、国有財産審理室長から総務課長に対して、「文書5」の中にも政治家関係者からの照会状況に関する記載がある旨の問題提起。両者から理財局長に対して速やかに報告。理財局長は当該文書の位置づけ等を十分に把握しないまま、文書を外に出すべきでなく、最低限の記載とすべきであると反応
  • 理財局長からは具体的な指示はなかったものの、総務課長及び国有財産審理室長としては、将来的に記載を直す必要があると認識。こうした認識は国有財産企画課長にも共有
  • 平成29年2月26日(日)に、「文書5」を国有財産審理室長及び配下の職員が、国有財産企画課長にも報告の上で、経緯部分を削除するなどの具体的な作業を行った
  • 平成29年2月26日(日)、本省理財局から近畿財務局の管財部職員に出勤を要請した上で、国有財産審理室の職員から、「文書5」と同様の書き換えを行うように具体的に指示をした。近畿財務局においては、管財部次長及び統括国有財産管理官以下の職員が、指示通りの作業
  • 「文書5」の文書管理責任者(国有財産業務課長)又はその配下で文書管理担当権限を設定された職員のアカウントであれば、「一元的な文書管理システム」上で電子決済が行われた文書を更新できることを、その後国有財産審理室長は知る
  • 平成29年4月4日(火)夜、当該権限を設定された配下の国有財産審理室の職員に対して当該システムにログインするよう依頼した上で、当該職員のコンピューターを借りて作業を行った。当該職員は、改ざん作業自体は全く関知していなかった
  • 平成29年2月26日(日)には、国有財産審理室長及び配下の職員が、国有財産企画課長に報告の上で、近畿財務局に対して「文書1」「文書3」等についても各種経緯が記載された箇所の短縮化を指示
  • 平成29年2月下旬、近畿財務局において「文書3」に「森友学園事案に係る今後の対応について(H28.4.4)」と題する参考メモを一時期は決算文書に編綴されていたが、最終的には外されていた
  • 平成29年2月27日(月)理財局長に「文書3」の内容を報告。理財局長はこのままでは外に出せないと反応。理財局長から総務課長及び国有財産企画課長に対して、担当者に任せるのではなくしっかりと見るように、との指示
  • 平成29年3月2日(木)参議院予算委員会に置いて国会議員から、森友学園案件に関する決裁文書を提出するよう要求。同日以降、国有財産審理室の職員から近畿財務局に対して改めて各種決裁文書の送付を求める
  • 平成29年3月3日(金)以降、近畿財務局側では各種決裁文書をスキャンして電子ファイル化する作業を行った上で、同年3月6日(月)から8日(水)頃にかけて、決裁文書の一式を本省理財局側に送付
  • 「文書1」「文書3」について、総務課長、国有財産企画課長、国有財産審理室長及び配下の職員が相談・検討、平成29年3月8日(水)にかけて、理財局次長、理財局長に対して、複数回にわたり、報告
  • 平成29年3月7日(火)未明、国有財産審理室職員から近畿財務局に対して、「文書1」「文書3」等の書き換え案が送付。この段階では小幅な書き換え。
  • 平成29年3月8日(水)にかけて、理財局長を含めて行った議論を踏まえ、「文書3」の作業を行った上で提出・公表する方針とともに、貸付契約までの経緯の記述をすべて削除するほか、国土交通省大阪航空局の対応状況を削除する等の更なる書き換え案が、近畿財務局に対して示された
  • 近畿財務局の統括国有財産管理官の配下職員は反発。平成29年3月8日(水)までに管財部長に相談。総務課長と管財部長との間でも相談
  • 平成29年3月20日(月・祝)に、「文書3」の書き換え内容について、理財局長を含めて改めて議論。議論を踏まえて、翌日21日(火)までに売払いに至る経緯を加筆した案が作成され、近畿財務局に共有された。「文書1」についても同様の作業が必要との認識が共有された
  • 平成29年4月上旬、理財局長へ総務課長から近畿財務局側には強い抵抗感があるとの報告。理財局長は、必要な書き換えは行う必要があるとの反応。総務課長から国有財産審理室長及び管財部長に対して、最低限、政治家関係者からの照会状況の記載と、それまでの国会答弁との関係が問題となりかねない個所については書き換えが必要である旨が伝えられた
  • 国有財産審理室長から近畿財務局の管財部次長にこの内容が伝達されるとともに、配下の職員がその時点までに作成していた各種決裁文書の書き換え案が改めて送付
  • 平成29年4月8日(土)、管財部次長が指示を踏まえた作業を行った
  • 平成29年4月10日(月)、管財部次長が近畿財務局に出張してきた国有財産審理室長に状況を伝達。管財部長にも報告。国有財産審理室長から総務課長に対しても報告
  • 平成27年6月「文書8」の抜き取りは、当時の統括国有財産審理官およびその配下職員の判断
  • 近畿財務局においては、平成29年2月21日(火)の国会議員団との面会を受けて、本省理財局とも相談の上、「文書4」「文書6」の「鴻池祥肇議員からの陳情案件」との記載の削除。さらに平成29年2月23日(木)以降は、応援の職員を呼び寄せて体制を強化
  • 理財局長まで相談を行っていた決裁文書は、「文書1」「文書3」であり、事後的に報告していたのは「文書4」「文書5」。残る文書は総務課長も十分認識しておらず
  • 「文書1」等の決裁文書の一部が大阪航空局との間で共有。平成29年4月下頃、国有財産審理室の職員が国土交通省本省に出向いて決裁文書の差し替え作業
  • 近畿財務局は、平成29年4月11日(火)以降に会計検査院の実地検査を受け、同年4月21日(金)に、改ざん後の決裁文書一式の写しを提出
  • 平成29年5月上旬に、会計検査院から近畿財務局に対して、「文書1」等について、内容の相違や過不足の照会。近畿財務局から紹介を受けた国有財産審理室は、航空局に問い合わせするとともに、総務課長及び国有財産企画課長に相談
  • 情報公開請求に対して改ざん後の決裁文書を開示したのは、平成29年3月3日(金)に請求を受けて同年5月2日(火)に開示した「文書3」が初めて
  • 国会議員に対しては、同年5月8日(月)に参議院予算委員会理事会に対して「文書3」と提出
  • 平成29年4月13日(木)に差し替えが行われた「文書3」のうちの経緯資料については、会計検査院には当該差し替え前のものを提出しており、後日本省から提出資料の間で不整合が生じた

(以下、処分内容・再発防止に向けた取り組み等。ここでは省略する)

[以上は、個人による抜粋で、一部、省略や、表現を改変している場合がありますが、本旨は変えていないつもりです(個人の感想)]

(感想)

報告書通りであれば、実際に指示を出していたのは、総務課長であり、実際に改ざんを具体的に指揮していたのは、国有財産企画課長と国有財産審理室長になる。

理財局長は、当初は管理できていなかった責任、途中から追認した責任があり、近畿財務局も本省理財局からの指示で実際に改ざんの実行をした責任がある。

この報告が奇妙なのは、理財局長が直接指示をしていないのに、総務課長や国有財産企画課長と国有財産審理室長が改ざんという意思決定を下している、と結論付けていることである。それでいながら、総務課長や国有財産企画課長や国有財産審理室長に対する処罰は、理財局長より軽いものになっている。

「日本の組織は、課長クラスの人間が実質的に組織を動かしている」とか「戦前の陸軍の課長クラスの暴走が国を誤らせた」といった、日本の組織論へと話を広げることも可能だが、ここでは触れない。というのも、今回の問題を見た印象では、課長クラスの暴走であるようには思えないからだ。

では、理財局長からの指示がないのに、なぜ、課長クラスが改ざんという歴史への犯罪行為を行ったのかと言えば、考えられるのは、

理財局長以外からの上からの指示があった

という仮説だ。

この点に関しては、

2017年2月22日の菅官房長官への説明

を意識して今回の報告書を読み込めば、ある程度の答えが浮き上がってくる。

ポイントを箇条書きすると、

  • 2017/02/22の説明には総務課長が同席
  • この時、総務課長は決裁文書の内容を知らなかった(決裁印を押しているが中身を見ていない)と答弁済み
  • 報告書では、02/21の国会議員団への現地説明を受けて、国有財産審理室長が決裁文書の政治家関係者の記述が問題となることを認識し、「その後」、総務課長に報告、と時系列をはっきりさせない記述
  • 02/23以降は、近畿財務局で応援の職員を呼び寄せて体制を強化(→何らかの上からの指示があったことを示唆)

などの点を推察すれば、指示があったと考えるのが論理的であろう。

この問題は、「忖度」という言葉が流行った本家であるので、その言葉で片づけてしまいがちだが、明確な指示があった、と推察される。

この件については、総務課長は停職1月の懲戒処分を受けているが、この問題の解明のためには、改めて話を聞く必要があるのではないだろうか。

さらなる情報を期待したい。

過去の考察のカテゴリーはこちら→「森友問題」考察

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