「新聞週間」の読売新聞世論調査は2019年も予想通りでやっぱりすごい

2019年10月14日の読売新聞の朝刊は、様々な出来事が集中し、様々な重要なニュースが紙面を埋めていた。

  • 台風19号による被害(亡くなられた方々へご冥福をお祈り申し上げるとともに、被害にあわれた方々へのお見舞いを申し上げます)
  • ラグビーワールドカップで日本初の決勝トーナメント進出決定
  • プロ野球クライマックスシリーズでセ・パ両リーグ日本シリーズ進出チーム決定
  • 阿川佐和子氏による新聞朝刊連載小説がスタート
  • 14日は祝日で夕刊はなく、翌15日は朝刊休刊日のため、テレビ・ラジオ面が14・15日の二日分掲載

そんな、紙面が足りなく感じさせるような日に、今年も読売新聞は、例年通り、新聞週間に合わせた全国世論調査の結果を、掲載した。

読売新聞社は、15日から始まる第72回新聞週間を前に、全国世論調査(郵送方式)を実施した。

読売新聞、2019年10月14日朝刊、大阪本社版、13S、総合面2面。質問と回答、詳報は、特別面30面31面。

その世論調査の内容について、「予想通りだった」という私の感想を、今年も予定通り述べることにしたい。

こんな状況でも、世論調査の特集ページを予定通り掲載する読売新聞はやっぱりすごい。

1.2019年「郵送全国世論調査『新聞週間』」を読売新聞はどう報じたか

読売新聞は、毎年この時期の新聞週間に合わせて行う全国3000人を対象にした大規模郵送全国世論調査の結果について、紙面に掲載している。たいてい、一面に概要記事を載せる印象があったが、上記の都合もあってか、今回は、二面の端っこに次のような見出しで、掲載されていた。

ネット偽情報「信じた」44% 本社世論調査「新聞は正確」7割超

読売新聞、2019年10月14日朝刊、大阪本社版、13S総合面2面。

去年同様、苦しい見出しだ。(個人の感想です)
[去年の新聞週間世論調査については、当ブログ記事「新聞週間」の読売新聞世論調査は2018年もやっぱりすごい]

まず、大見出しの「ネット偽情報『信じた』44%」だが、正直、意図がよくわからない。その質問内容とその数字を、どう受け取っていいのか判断に困った。驚くべき結果なのか、実感通りの結果なのか、見出しにする価値のある内容なのか。

この見出しが、見苦しく感じるのは、まずは、「ネット偽情報『信じた』」という短い一文の中に、本人の認識が二重に重なっている(←この表現も見苦しい)からだろう。

どういうことかと言うと、

  • ネット偽情報 ← 本人の自己認識
  • 「信じた」 ← 本人の自己申告

となっており、まず、「ネット情報の真偽」を判定するのが本人であり、さらにそれを「偽」と判定した上で、それを「自分は信じていた」と自己申告する、という、ややこしい質問になっているのだ。

これだと、「偽のネット情報」の真偽に気付いていない人はそもそも「信じた」とは答えない。「信じたままの人」が「偽情報を信じた」と答えるわけがない。

また、「偽情報」だと気づいた人も現時点では「信じていない」ため、過去に自分が「信じた」かどうかは、曖昧な主観的な判断になる。例えば、「偽情報に接した時、『ふーん』程度の感想で流し見したが、後で偽情報と分かったときも『信じた』に含めるのか」、「偽情報を見て疑ったけど、『ひょっとしてありうるかも』と思った程度でも『信じた』に含めるのか」、というように、明確な判定基準がない。それに「偽情報を信じた」というのは、否定的な自己評価であり、そのことを正直には答えにくい面もある。

おそらく回答者も、回答には困ったのであろう。調査では、「ある」・「ない」・「答えない」の3択であったようだが、「答えない」が15%にも上っている。この数字の中には、「質問の意味が分からない」「質問と選択肢が曖昧過ぎて答えを絞りにくい」といったものも含まれていることが予想される。有効回答の内でかつ三択で「答えない」の選択が15%もあったというのは、他の質問と比べても多すぎる。これでは、この質問項目に欠陥があったのではないかと疑われても仕方がないであろう。(この質問以外でも「答えない」が15%だった質問が一つ存在するが、その関連については、後で述べる)

ただ、実際の真偽の判定には役に立たなくても、世論調査を、「どれくらいの割合でこのように認識していると告白している」という傾向を知るものだと割り切れば、今回の質問も、全くの無意味というわけではない。「信じた」と告白することに抵抗を感じていて迷った末に「ない」と選択した人も、今回の調査結果を知って、「ある」と答えることに抵抗がなくなり、今後は、「ある」と答える割合が増える可能性がある。その意味では、この質問項目も、「信じた」と告白することが社会的に許容されていくかどうかの判定要素にはなるだろう。とはいっても、これは経年調査をしてその傾向を見てみないと分からないので、この質問が今年1回で終わるものであれば、せっかくの大規模調査の無駄使いになってしまうが。

次に、小見出しの「『新聞は正確』7割超」の点だが、正確な質問項目とその割合は、

◆あなたは、新聞が事実を正確に伝えていると思いますか、そうは思いませんか。
・とても正確に伝えている 5
・だいたい正確に伝えている 66
・あまり正確に伝えていない 23
・ほとんど正確に伝えていない 4
・答えない 2

【調査方法】
小数点以下四捨五入。数値は、合計100%にならないことがある。
(引用者による一部抜粋)

同上、”主な質問と回答(数字は%)=一部要約=”、31面。

であり、「とても」と「だいたい」の「正確に伝えている」を合計して、「『新聞は正確』」7割超」と読売新聞は結論付けて記事にしている。

この質問について、読売新聞は31面の特集面で、

同じ質問を始めた2017年から「正確に伝えている」は3年連続で7割以上の高い水準で推移している。

同上、31面。

とし、「高い水準」だと自画自賛している。

だが、7割が「高い水準」なのかどうかの根拠は示していない。

新聞社が行う調査の、新聞社の評価を求める質問で、7割程度で維持していることを「高い水準」と言っていいものだろうか。しかも、この質問は2017年から始めた質問であり、それ以前との比較ができるものではない。数字から見えるのは「2017年から3年間はほとんど変化がない」というだけであり、2016年と2017年の間に予想された重要な変化をすくい取ることができていない。(2016年と2017年の間に予想された変化については後で述べる)。

3年間、ほとんど変化がない項目を、今回ことさら強調せざるを得ない、読売の記事には、息苦しさを感じさせる。(個人の感想です)。

以上のように、大見出しと小見出しの両方で、見苦しさを二重に表現させる、読売新聞はやっぱりすごい。

2.2019年調査からわかったこと

世論調査を毎年行うことのメリットは大きい。同じ質問を続けることにより、経年比較が可能になり、一定の傾向や変化に気付きやすくなるからだ。

残念ながら、読売新聞が見出しで取り上げた「ネット偽情報『信じた』44%」の質問項目は、今回初めて設けられたものなので、経年比較できず、そのメリットを生かすことができない。

そこで、経年比較できる項目に注目する。

経年比較可能な質問に絞って2019年調査の内容を見てみる。そこで分かったことを、結論から言うと、

ほとんど変化なし

というものになった。(個人の感想です)。

まず、(当ブログでは恒例となった)今回の有効回答数は、2176人であり、2018年の2170人からほぼ変化がなかった。(ポイントでいえばわずか0.2%程度の増加)

それ以外の経年比較できる質問項目も、(表記されているのは四捨五入した数値のため正確な振れ幅は分からないという前提で)数字を見比べてみたが、ほとんどが5ポイント以内の変化に収まり、10ポイントを超えるような大きな変化は見られなかった。

あえて、取り上げるとすれば、四捨五入した数値のため正確な振れ幅は分からないが、一問目の質問「あなたは、新聞があなたの必要とする情報や日常生活に役立つ情報を提供していると思いますか、そうは思いませんか。」の答え「だいたい提供している」が61で前年の68から7ポイント低下していて、その低下分が「あまり提供していない」「ほとんど提供していない」で3ポイントづつ増えている形になっている。
それと、他には、去年初めて設けられた質問のため前年との経年比較しかできないが、質問「あなたは、インターネットなどに多くの偽の情報が流れていると感じますか、感じませんか。」については、(質問順や前後の関連質問の影響を受けている可能性があるが)「感じる」が69で前年の77から8ポイント低下し、「答えない」が6ポイント増加して15%となっている。(この件は、上記で取り上げた、「ネット偽情報『信じた』44%」の「答えない」が15%だったことについて、それ以外にも「答えない」が15%の質問があった、と指摘した「もう一つの質問」である。去年より増加した理由は、読売新聞が見出しで取り上げた「ネット偽情報『信じた』」の不明瞭な質問が今年初めて登場したため、今回はその影響を受け、その質問につられて「答えない」が増えた可能性も考えられる。)
いずれにせよ、これらの点は、読売新聞にとっては「あえて」取り上げるほどの変化ではない、と判断したようだが。

3000人もの大規模全国郵送世論調査をして、「変化なし」という結果をわざわざ確かめて結論にする、読売新聞はやっぱりすごい。

3.2015年から2019年までの毎年の調査で変わったことと変わらなかったことと

2019年の調査の結論は、「変化なし」という身もふたもないものだったが(個人の感想です)、「変化なし」という結果から確認できたことがある。

それは、これまで当ブログでもずっと注目してきた、有効回答数についてで、2019年の結果により、2018年の時に指摘した点(同上)を補足することができた。

この有効回答数については、2018年の時の上記の記事でまとめたものに、2019年の数字を加えて説明する。

有効回答数について、2015年からの数字に、今回の2019年の結果を加えて並べると

1991人 → 1968人 → 1879人 → 2170人 → 2176人

となって、回答率で言うと、

66.37% → 65.60% → 62.63% → 72.33% → 72.53%

となった。

これを見ると、2017年まで減少傾向だったが2018年に一変して増加していて、その後の変化に注目していたが、今年も2018年とほぼ同数の水準を維持した。

つまり、2019年は、有効回答数も、前年とほぼ変化なし、に落ち着いた。

ここから結論付けられるのは、2018年に有効回答数が大幅に伸びたのはその年限りの異常値ではなく、読売新聞の3000人規模の全国郵送世論調査は2017年と2018年の間に、回答率を上げる何らかの工夫を行ったと予測した点が裏付けられたことになる。

だが、2018年の明確な変化である、回答率が上昇した点について、読売新聞は一切説明していない。[個人の確認です]

この件について、お問い合わせフォームからも問い合わせてみたが、返答はなかった。また、少なくとも、この一年間、私がこの点を気にして読売新聞を「熟読」してきた限りでも、この疑問点について読売新聞の紙面での説明は見受けられなかった。(この一年でも、読売新聞は様々なテーマで3000人全国郵送調査を行っており、その都度注目していたが、回答率は明らかに上昇している印象がある。また、「よくわかる」的な説明をするコーナーで統計についての一面にわたって特集することもあったが、自社の世論調査での回答率の上昇について一切触れていなかった。)

有効回答数を見事に上昇させているのに、読売新聞はその説明を全くしないので、ここから先は想像するしかない。

3000人もの全国調査結果を載せておきながら、その結果で満足させることなく、いろいろと疑問を持たせて想像を膨らませることを余儀なくさせる読売新聞の世論調査はやっぱりすごい。

4.やっぱりすごい読売新聞の郵送全国世論調査

読売新聞の説明がないので、この有効回答数上昇の不自然さについては想像するしかない。

以下、個人的な想像。

・2017年と2018年の間に有効回答数を増加させる工夫をしたと予測されることから、2017年の調査結果に読売新聞は何らかの影響を受けたのでは?
・2017年調査は、変化のないものもあったが、新聞に対する質問に対しては、いい評価は減少し、悪い評価が増えたという全体的な印象
・2017年調査は、有効回答数が減少している
・2017年と言えば、読売新聞が5月に「出会い系バー報道」。これが影響し、回答数が減ったのでは?
・この回答数減少を隠すためにも、次は回答数を例年通りに戻すようにしろとの命令があったのでは?
・何らかの手段で回答数を増やす方策を取る(例:予算を増やす)
・その方策が当たったのか、結果的に次の年に有効回答数が増えたが、これまでの減少分を大きく上回ってかえって不自然に
・ただ、回答数が増えた割に、回答内容の割合はそれほど変化なし。統計学の常識通り、一定数以上の回答を増やしても結果の信頼性に大きな変化はない、ことを確認できただけ
・でも、回答数を増えた経緯をおおっぴらには説明することはできない
・仕方がないので、「変化がない」という調査結果で記事を書くしかなく、苦しい内容に

以上個人的な想像でした。

2018年の世論調査の時点で、私は、上記のような予想を既にしていた(同上)が、2019年の調査が、有効回答数も含めて「(前年と)ほぼ変化なし」という結果になったため、2018年だけが異常値だった可能性は否定され、私の2018年時点での予想の正しさはほぼ裏付けられたと言っていいだろう。

私のこの予想が正しければ、読売新聞は大金をかけて世論調査をしておきながら、変化なしという結果しか導け出せず、一定数以上は有効回答数が増えても結果の信頼性に変化がないという成果すら言及することもできなかったことになる。

(さらにタイミングの悪いことに、読売新聞は2019年1月から新聞代を値上げしている。これだと、値上げは世論調査の予算増加のせいでもあるんじゃないかと勘繰られても仕方がない状況だ。もしこれが事実であるのなら、値上げしてまでも有効回答数を増やした努力が「変化なし」で終わっていることになり、これまた読売新聞はすごい、としか言いようがない。)

他のニュースでいっぱいいっぱいな日なのに、数少ない成果である有効回答数増加にも言及できずに、ほとんど変化なしの結果を特集面で記事を埋めなければならない読売新聞の読書週間世論調査は、やっぱり今年もすごいなあ。

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