今日も読売新聞はやっぱりすごい(2022年下半期)

朝日が昇る前に家まで配達される読売新聞(地域・季節によります)を、毎日のように熟読している一読者が、そこから日日経験を積みながら、印象に残った記事の感想を、2022年の7月以降も、備忘録的に追記して残していく。

2022年の下半期も、上半期に負けず劣らず読売新聞はやっぱりすごそうだ。

[公開:2022/07/13、更新:2022/12/31]

※特に注釈の無い場合は、読売新聞大阪本社版を読んでの感想です。

・2022/12/31(土)朝刊1面「編集手帳」、朝刊3面社説

2022年も最後ということで、このブログで何か書いておくことがないかなと読売新聞を読んだら、編集手帳と社説に、さすが読売、という期待を裏切らない内容が。(個人の感想です)

今日の編集手帳は、今年亡くなった人の紹介と個人の印象的な発言を引用していた。今年最後の内容としてオーソドックスなテーマに思えたが、最後に、銃撃されて亡くなった元首相を取り上げていて、その内容が、1度目の首相辞任後に登山していた時の話。この時の登山と言えばカルト教団関係者とのかかわりが映像や写真付きで発掘されているのに、あえてこの時の登山を取り上げていた。編集手帳氏が読売新聞しか読んでいなかったら元首相と教団とのかかわりは知らなかった可能性はあるが、果たして、知らなかったのか、わざとなのか、年末最後にこれをさらっと取り上げる読売新聞編集手帳はすごい。

今日の社説の一本目は、日本学術会議について。テーマとして周回遅れな上に、主張している内容がよく分からないもので(個人の理解度です)、年末最後にこれを取り上げるのかと驚かされた(と言いながらも、またか、と言う印象もあり)。まさかと思うが、社外の「第三者」に依頼された内容で、年末大掃除のついでにどさくさに紛れてこのタイミングで出したのだろうか(個人の妄想です)。読売新聞の学術会議についての意見(の垂れ流し)は、すでに過去に当ブログで別記事にしているので、改めて詳しく取り上げるほどの事ではないが、今回の読売社説の内容を、簡単にまとめると、「金出してるから専門家はカネを出している奴の意見に従え」というもの(個人のまとめです)。まるで、医者に対して「診察代出しているから私に都合のいい診断書を出せ」と言っているようなものだが、それを恥ずかしげもなく、年末最後に社説として載せてしまう読売新聞はやっぱりすごい。

そんなこんなで、2022年の年末も、最後の最後まで、読売新聞はやっぱりすごい。

・2022/12/06(火)朝刊3面、総合面

3面総合面で、NHKの次期会長が決まったという記事の解説。今日の朝刊一面左にも載っていた内容で、その解説が3面に。正直、次期会長が誰になったかは前日の夕刊でも載っていた内容(地域差があります)なので、それほど興味なく読み進めるが、途中で、さらっと、コワいことが書いてあった(個人の感想です)ので、メモしておく。

安倍晋三元首相の銃撃事件や、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)などを巡る報道でも、首相自身が「NHKは公正さを欠いている」との問題意識を持っていた。

読売新聞2022年12月6日朝刊、”「スリム化」「公正」重責 NHK次期会長 稲葉氏”、(政治部 佐藤竜一、経済部 向山拓)、大阪本社版13S3面総合面。

ここに書かれていることが「事実」かどうかは別として、その首相自身の認識がまずコワイが、それを(語尾で「・・・と見られる」という逃げの言葉すら使わずに)当然のように「持っていた」と断定して書く記者(「政治部 佐藤竜一、経済部 向山拓」と記事冒頭にありましたが、誰が文責かは不明)の感覚もコワいし、それを問題と思わずに解説面に載せた読売新聞編集部もコワいし、これを問題に思わない読売読者も、もっとコワい。

そもそも、「(・・・)などを巡る報道」で「NHKは公正さを欠いている」と(いう首相の認識を)説明もなく、さらっと書いてあるがあるが、具体的にどういったところなのかがよく分からない。また、首相にとってはより当事者性の強くて批判の大きかった「国葬議の決定」についてだったら、(逆恨みだが)報道に文句を付けたがるのも(百歩譲って)理解できなくもないが、銃撃事件や旧統一教会「などを巡る報道」に問題意識を持つとするのは、ズレている気がする。むしろこれは首相ではなく読売記者の「問題意識」ではないのか。

「公正さを欠いている」という具体的事実を示すことなく、首相の「問題意識」ということを、あたかも事実のように書いている。これでは読売読者に不親切ではないか。解説面なのに、解説が足りない。

まさかと思うが、「NHKは、(教会や教会と関係する政治家側のクレームを恐れて、旧統一教会に関する報道を抑え気味で、もっと被害者側の立場に立って公正に報道すべきなのにできていないから)公正さを欠いている」と言うのが、首相の「問題意識」だというのだろうか。それであれば、私の勘違いでしたゴメンナサイ、・・・となるがそんなわけないか。

報道に対して問題意識を語っているようで、語っていないかのような、読売新聞解説面は、解説面なのに解説が足りないように見えて、やっぱりすごい。

・2022/12/02(金)朝刊31面、科学・医療面、「トピックス」

今日の科学医療面のトピックス欄は、

抑制たんぱく質特定
難病「炎症性腸疾患」
近大 新たな治療法に光

読売新聞2022年12月2日朝刊、「なるほど科学&医療」、「トピックス」、”同”、大阪本社版13S31面科学・医療面。

の記事。難病に対して新たな治療法につながる可能性があるということで、患者の方の朗報になればいいなと思わせる内容だった。

科学医療の記事らしく、医療用語や科学用語を交えながら丁寧に説明している印象だったが、途中の一文、

潰瘍性大腸炎は安倍晋三・元首相の持病としても知られる。

同上。

を見たときに、引っかかりを感じた。(個人の引っかかりです)

「最近亡くなった人の『持病』に対して、現在進行形で『知られる』とするのは違和感がある。故人に対しての場合は、『持病としても知られる』よりも『知られていた』の方が適切では?」
「そもそも、その人物が『持病』だった事実はあるのか。また、仮に事実だったとしても『治った』と公言していたのではなかったのか?」(個人の感想です)

などと、気になってしまった。

せっかくの科学医療の記事を、論理性や科学性を疑わせるような一文を入れてしまって読者に科学とは何かと考えさせてしまう、読売新聞の科学医療面のトピックス記事は、すごい。

・2022/11/18(金)夕刊1面、「よみうり寸評」

今回の「よみうり寸評」は、冒頭に「後生畏るべし」の引用。直感的に、『論語』本来の意味とは違って誤用されている話をするのかな、と思って読むと、わざと誤用したと思われる「名言集」から説明を引用しており、やっぱり予想通りと思って読み進む。最後に誤用であることを明かすのだろうと予測するが、最後まで、『論語』(本来の意味での)引用は無し。こういう誤用の引用は、いろいろと「うるさい」読者が多いんじゃないかと心配になって、本当に「校正」したのか気になってしまう、読売新聞夕刊コラム「よみうり寸評」は、「こうせいおそるべし」ですごい。

・2022/10/26(水)朝刊1面ほか

一面中段真ん中に、昨日行われた元首相の追悼演説の記事。正直、時期を逸した今さら感があって、流し読みするが、記事の文末には、「首相経験者による追悼演説は野党の党首級が行うのが慣例」[同上]の記載が。確か前日にも同じような文章が載っていた記憶があって、しつこさを感じた(個人の感想です)。そもそも、当初、臨時国会で追悼演説を行う予定の時に、演説者として(野党ではない)「なんでこいつが」という候補が上がっていた(個人の感想です)が、その時は、読売は「野党の党首級が行うのが慣例」と言っていなかったような気がするのだが。「慣例」を都合のいいように使い分ける「慣例」があるように見える、読売新聞はやっぱりすごい。

[2022/10/27追記:気になったので、読売新聞オンラインで、「追悼演説 慣例」で紙面検索すると、4件ヒット(追記当日の個人的な検索した結果によるものです)。その中で一番古いのは、8月6日の朝刊社説だったが、文脈とは違うところでそれぞれの用語が使われているので、今回求めていたものとは違った。(ちなみに、この社説については、当ブログ記事の↓で取り上げてます)。間近の2件は、10/25付と10/26付の今回の一連の記事で、「野党の党首級が行うのが慣例」[同上]、としている。残りは、1か月前の9/25付の記事なのだが、ここでは「登壇者の慣例は定まっていない」。1か月前に定まっていなかった「慣例」を、1か月たったらしれっと「慣例」にしてしまう、読売新聞は、やっぱりすごい。]

・2022/10/19(水)社会面25面

前日18日に新聞大会が行われて、新聞協会賞ほかの授賞式が行われたので、受賞あいさつの記事。正直、先週、受賞にあたっての経緯等については1面に渡って掲載されていて(2022年10月13日朝刊13S特別面14面)、「熟読」済みなので、目新しさは感じなかった。掲載されていた受賞あいさつ文も前回のコピペかと疑って13日の紙面を見返したが、文言は変えているようだった。疑ってゴメンナサイ(個人の確認です)。

ただ、当日19日の夕刊には、五輪疑惑で新たに広告代理店社長が逮捕されたとの記事。いわば、「5ルート目」が発掘されたが、このルートについては逮捕されるまで、読売では報道されていなかった記憶が(個人の確認)。ところで、改めて13日の受賞(自慢)紙面を見返すと、「4ルート」の小見出し。どうやら「5ルート目」はつかめていなかったようだ。(個人の感想です)。「今後も取材を続けていく」とカッコイイことを言っておきながら、5ルート目をスクープできなかったことを、当日夕刊で知らされる、読売新聞取材班は、せっかく受賞したのにケチを付けられてすごい。

・2022/09/28(水)~29(木)社説

2022年9月28日の社説は「元首相国葬」について、翌29日の社説は「日中国交50年」についてで、いずれも通常二本の社説のところを一本にまとめて掲載されていた。

内容については、(苦心の跡が見られるものの)特にメモしておくこともないので省略するが、すごいのは、連動するかのような広告欄。

28日の社説「安倍元首相国葬」の真下に、鈴木エイト氏による自民党と統一教会の関係についての著作の広告。

29日の社説「日中国交50年」の下部の広告面には、コピペ日本歴史書で有名な放送作家による「中国史」と称するタレント本の宣伝。

(どっちが真実かどうかは別として)社説の内容と全く異なる本の宣伝を、同じ面で連日行う読売新聞社説面は、広告欄も含めて、やっぱりすごい。

・2022/09/27(火)~28(水)朝刊「編集手帳」

2022年9月27日は、「国葬」と称するイベントがあったようだ。読売新聞も大々的にアピールしている印象で、まるでこのイベントの協賛スポンサーの1社のようだ。(個人の感想です)

当日9/27の朝刊は、1面トップに今日「国葬」があるという記事で、翌日9/28朝刊は1面トップで「国葬」が行われたという記事、さらに各面に渡って関連記事も。28日の社説に至っては、通常2本のところを1本まとめてこのテーマで(だらだらと)語っていた。(個人の感想です)。

そんな中、読売新聞一面コラム欄の「編集手帳」は、この当日と次の日の二日間、この「イベント」には全く触れなていなかった。(個人の確認です)

「編集手帳」では、27日はプロ野球セリーグでのヤクルトスワローズ連覇について、28日には、東京五輪・パラリンピックの収賄事件について、をテーマにしていた。改めてみると、これらも「安倍元首相」とは(こじつければ)全く無関係でもないような気もするが、少なくとも「国葬」イベントのテーマとは言えないだろう。

読売新聞では各面で、(反対の方が多い)イベントの記事を(社説を代表として必死で)記事を書こうとしている中、「編集手帳」がこのテーマをスルーするところには、ズリーなー、と思う一方で、読売新聞社の組織の中にいる筆者の立場を思えば同情の余地もあり、毎日いろいろなテーマでコラムを書く中であえてこのテーマで書かないのであれば、好感が持てる。(個人の感想です)

「あえて触れない」のか、「触れると悪口になるので触れられない」のか、結局のところよく分からないが、これだけ各面が「国葬イベント」について取り上げているのに、テーマに取り上げない読売新聞朝刊一面コラム「編集手帳」は、やっぱりすごい。

[追記:2022年9月29日朝刊「編集手帳」のテーマは、「斜め上」についてでした。このセンス、嫌いではありません。狙っているのかどうかわかりませんが、ここしばらくは、「編集手帳」が楽しみで、毎朝、目が離せません。]

・2022/09/19(月)朝刊1面

朝刊1面の左側に、英国女王の国葬の記事があり、その流れで、両陛下がロンドンに到着されたという記事。無事に到着されてよかったというお知らせなのだが、ちょっと引っかかった記事の表現があったので、メモしておく。

(前略)。宿舎前では、歓迎のために集まった在留邦人や現地の人らに笑顔で手を振られた。

読売新聞2022年9月19日朝刊、【ロンドン=大塚美智子】、”両陛下ロンドン到着”、大阪本社版13S1面「英女王きょう国葬 参列200か国・地域から」。

「国葬」に参列されるために英国に到着し、宿舎前で「笑顔」。実際に、記者が「笑顔」に見えたかどうかは知らないし、実際の両陛下が「笑顔」だったかどうかは知らない。ただ、「国葬」の記事でそれを文章にした記者だけでなく、その違和感に気付くことなく1面に載せてしまう読売新聞は、尊皇の意思があるのかどうかわからなくて、やっぱりすごい。

・2022/09/11(日)朝刊33,34面

33面に石川の高級ブドウの苗が韓国に流出していたことがDNA鑑定でわかったという記事があって、同日、34面のUSO放送(読者投稿によるパロディ欄)にそのことを上手くたとえた投稿が載っていた。

改めて33面記事を読み直すと、7日に石川県が明らかにしていたとのこと。

まるで、USO放送の読書投稿による「ネタ」を載せるために、その前提となる7日発表の内容を、11日の記事で載せたかのように見える、読売新聞はやっぱりすごい。

・2022/09/11(日)朝刊2,3面

今日は、2012年9月11日の尖閣諸島国有化から10年ということで、いくつか記事が。

尖閣国有化については、ちょうど5年前にも、読売の記事の書きぶりが気になって当ブログでも記事に残していこと(当ブログ記事”読売新聞の日中関係悪化の原因の決めつけがすごい”[2017/09/11公開]参照)を思い出したので、比較のために今回の書きぶりについてもメモしておく。

尖閣諸島を巡っては12年4月、当時の石原慎太郎東京都知事が民間人の地権者から買い取る意向を表明したことを契機に、民主党の野田政権が同年9月、国有化に踏み切った。

読売新聞2022年9月11日朝刊、”国有化10年 尖閣へ挑発 常態化”、大阪本社版13S2面総合面。

私有地だった魚釣島など3島を購入したのは、中国が当時、この海域を実効支配しようという行動を強めたことが背景にある。

読売新聞2022年9月11日朝刊、社説”中国の実効支配の試み許すな 尖閣国有化10年”、大阪本社版13S3面総合面社説。

個人の感想でしかないが、5年前は、日中関係悪化の原因として、尖閣諸島国有化を鬼の首を獲ったかのように取り上げていたのが、今回は、その前段階の石原都知事(当時)の買取意向や、中国の動きなどを、ちゃんと踏まえている内容。(個人の感想です)

単に年月が経ったからなのか、それとも「国葬」に遠慮して「国有化」も擁護するようになったのか、あるいは「国葬」される人がいなくなって配慮する必要がなくなったのか、いろいろ考えさせる、読売新聞の尖閣国有化の記事は、年月が経つほど、すごい。

・2022/09/08(木)朝刊1面

今朝の1面トップ下の記事は、

本紙に新聞協会賞 五輪汚職報道

読売新聞2022年9月8日朝刊、”同”、大阪本社版13S1面。

久々に、読売新聞が、新聞協会賞を取ったそうだ。おめでとうございます。

正直、読売が、五輪汚職報道をリードしていた印象はなかったのだが(個人の印象です)、7月20日朝刊の記事がスクープだったようだ。今回の新聞協会賞の期限にぎりぎり間に合ったようでよかったですね。

ここ数年の読売新聞では、新聞協会賞が発表されても、社会面の次の次のページ(番組面から2回めくった面)の小さい記事で(他社の)受賞内容を羅列するだけの印象だったが(個人の印象です)、今回は、自社が受賞したということで、堂々と、一面トップ下と、社会面での2面2か所に関連記事を掲載。

久々の新聞協会賞受賞で分かりやすい読売新聞は、やっぱりすごい。

・2022/09/04(日)朝刊社会面27面

今日の読売は、大阪本社版の27面に、ほぼ全面(広告他を除く)、よく分からない記事が載っていた。(個人の理解です)

コロナ死者 大阪なぜ最多
東京と比較分析 三要因

読売新聞2022年9月4日朝刊、”同”、大阪本社版13S社会面27面。

タイトルからして、「大阪本社版だけの記事だろうな」と予測。(後から読売新聞オンラインの紙面ビューアーで東京本社版を見ると載ってなかった。他の本社版はめんどくさいので確認していません。個人の確認です)

読んだ正直な感想は、「数字を並べているが、よく分からん内容。誰かが思い付きで言い訳した内容をとりあえず(適当な数字を見繕って)調べてみましたみたいな印象。まるで、子供の夏休みの自由研究を手伝って間に合わせたようなレベル。」(個人の感想です)

正直なところ、各種の統計の数字を出されても、それを精査するだけの能力も時間も私にはなく、また、読売の記事に対する私の信頼感もないので、記事を読んでも、「よく分からんし、うのみにする気もない」という結論しかない。(個人の感想です)

ただでさえ不信感があるのに、記事では、「第7波」での死亡率について比較しているので、「なにこれ?」。個人の感想としては、「感染数はともかく死亡人数のピークはまだじゃないの? 後からまた報告して増えるんじゃないのか? そもそも全数を確認できてない(する気もない)のでは?」という疑問で、「なんじゃこれ?」とツッコミが出てしまう。

日曜日の紙面の1面を使って、子供の夏休みの自由研究を手伝ったような(休みの最終日に間に合わせたような)レベルの内容(個人の感想です)を載せる、読売の大阪本社版は、やっぱりすごい。

・2022/08/28(日)朝刊「編集手帳」1面

今日の「編集手帳」は、外国人技能実習制度の話。一見、何の関係もなさそうな詩の引用から始まって、そこからテーマに関連させて論じる、王道パターン。内容も、政権側の言い分を一方的に述べる様な(いつもの)パターンではなかった。(個人の感想です)

もちろん、他にも触れるべき問題点が抜けていることへの不満は残るものの、限られたスペースの中では仕方がない面もある。読売記事本文では(上を見て誰かに遠慮するかのように)触れられないことを述べるという「編集手帳」の意義がある内容で、率直に、評価したい。

ただ読んでいて、あれっ、と引っかかったのは、「過去の本紙」で「劣悪な環境」の実習生の記事があるとしながらも、「政府は国会で質問が出ても制度の歪みを認めなかった」の箇所。前者の「過去の本紙」の記事は私にも記憶があり、後半の政府が「認めなかった」という点も何となく記憶があるので、事実関係を争うつもりはないのだが、政府が国会で「認めなかった」ことを読売が記事にしたのかは、記憶がなかった。

単に、私の見落としや忘れてしまっただけだったかもしれないが、読売が記事本文で触れなさそうなことを再確認させてくれる、「編集手帳」は、やっぱりすごい。

・2022/08/06(土)朝刊社説3面

また訳の分からない社説が載っていたので、メモ。

政治の劣化を浮き彫りにした 臨時国会閉会

読売新聞2022年8月6日朝刊、社説、”同”、大阪本社版13S総合面3面。

冒頭で、「政治の劣化は甚だしい」と、威勢よく強めに出ているものの、「残念だ」、「嘆かわしい」と、いつものように、政府与党に対しては、残念がって嘆くだけ。

そんな読売でも、さすがに、政治家と(旧)統一教会との関係に触れずにいることは避けられなかったのか、後半で言及するものの、「まず、問題点を整理する必要があるのではないか。」と、謎の第三者的な、上から目線。しかもその結論が、

(前略)選挙で支援されただけで、反道徳的な活動を容認していた、と決めつけるのは無理がある。

同上。

と、「無理がある」「決めつけ」。安倍氏銃撃から1ヶ月も経とうとしている中、未だに「(何も知らずに)選挙で支援されただけ」というケースに限定するのは、「無理がある」。(政治家も読売も含めて知ってたくせに)。(個人の感想です)

しかも続けて、「一部の野党」が国葬に反対する理由を、「安倍氏と団体の関係など」にあることなどと、意味不明なこじつけをした上に、「不祥事だけを取り上げ」として「理解に苦しむ」としているが、読売社説は、「不祥事」に矮小化すると同時に、「不祥事ということは認めるんだ」という苦しい内容。さらに、国葬を「国家的な業績」というものの具体的にはそれが何か示すことなく、ただただ、「理解に苦しむ」だけなので、こっちの方が「理解に苦しむ」。

そんなこんなで、社説のタイトル通り、「劣化を浮き彫りにした」読売新聞社説はやっぱりすごい。

・2022/07/29(金)朝刊社説3面

今日の読売新聞朝刊の社説の一本目は、

対立収拾し研究開発促進せよ 学術会議見解

読売新聞2022年7月29日朝刊、社説、”同”、大阪本社版13S総合面3面。

だった。学術会議については、読売では二日前の朝刊一面横によく分からない記事が載っていたのだが、(読売にしては)比較的早く社説にしたことで、「ああ、この社説とセットだったのね」と納得できた。(個人の納得です)[任命拒否問題で読売が社説にするまでのタイムラグとの比較は、当ブログ記事”「日本学術会議任命拒否」でも読売新聞はやっぱりすごい”を参照]。

ただ、そこまでしてお膳立てしているのに、読売(とその関係者)がこの社説で何を言いたいのかは、私の読解力不足で、結局よく分からなかった。

すると二本目の社説が、

科学的探究の力をどう育てる 全国学力テスト  

読売新聞2022年7月29日朝刊、社説、”同”、大阪本社版13S総合面3面。

で、今年の全国学力テストの結果が公表され、今回の中学校の理科の正答率が、前回より大きく下回ったという内容。

たまたまなのかわざとなのか、社説の一本目で「研究開発促進せよ」と威勢のいいことをいいながら、社説の二本目で学力テストで中学校の理科の正答率が悪くなっていることを憂えている。

お膳立てをして用意した社説を載せているように見えて、なんでこの並びになるようなタイミングで社説を載せたのか、よく分からな過ぎて、読解力の無い私にとっては、読売新聞の社説は二本並んですごい。(ちなみに、社説によれば、国語の平均正答率は前回と大きな変化はなかったそうです。)

・2022/07/24(日)朝刊社会面36面

安倍氏銃撃での容疑者の供述について、読売新聞では、微妙な変遷を見せている。(個人の観測です)
変遷について、これまでの流れをブログ記事にしたいところなのだが、その変遷がいつ終わるかが予想もつかないので、とりあえず、今日時点の読売新聞をメモ。

一方で、奈良県警の調べに、母親が入信した宗教団体「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)への恨みから、同連合とつながりのあると思った安倍氏を襲撃したと供述しており、安倍氏を狙った動機には論理の飛躍があるとの見方もある。

読売新聞2022年7月24日朝刊、”安倍氏銃撃 鑑定留置明日から 山上容疑者 11月29日まで”、大阪本社版13S36面社会面。

容疑者の鑑定留置が行われることが捜査関係者への取材から分かったという記事で、「一連の行動には合理性がうかがえる」[同]としているものの、安倍氏と旧統一教会とのつながりには、「論理の飛躍があるとの見方もある」との「飛躍した」解説(個人の解釈です)。ただ、今回は、「一方で」と「見方もある」との表現で、予防線を張った模様。最後にどこに落ち着かせるのか、今後も注視。

今回取り上げたかったのは、この件だけではなく、その隣に載っていた連載記事「凶弾 要人警護 下」について。

今回の事件での警護状況について疑問を呈する記事なのだが、すごいのは、

読売新聞は、安倍氏の事件後、警察庁を通じて国家公安委員5人全員に事件への受け止めなどを文書で尋ねたが、一人も回答せず、(以下攻略)

読売新聞2022年7月24日朝刊、”安倍氏銃撃 鑑定留置明日から 山上容疑者 11月29日まで”、大阪本社版13S36面社会面。

のところ。国家公安委員と言えば、あの、「小田尚」氏が、委員の一人[国家公安委員会委員長・委員のプロフィール|国家公安委員会Webサイト (npsc.go.jp)(参照2022-07-24)]。当ブログではおなじみの人。「読売新聞だったら直接聞けよ」という話なのだが、読売新聞は「文書で尋ねた」のに、小田尚氏は「回答せず」。そんな他人行儀な関係の、読売新聞と小田尚氏は、やっぱりすごい。

・2022/07/13(水)朝刊社説3面

今日の読売社説は、いわゆるタイトルサギな内容。(個人の感想です)

国際的な視点が欠けている 安倍元首相銃撃

読売新聞2022年7月13日朝刊、”同”、大阪本社版13S3面社説。

タイトルに、「国際的な視点が欠けている」とあるので、やっと「特定の宗教団体」について詳しく言及するのか、と思ったが、違っていた。事件直後には、海外ではすぐに「特定の宗教団体」の名称を出して安倍氏とのつながりにも言及していたのに、読売新聞ではなかなか言及してこなかったことをやっと社説で反省するのかと思いきや、全然違っていた。(個人の勘違いをした感想です。なお、事件当日から約3日間の読売紙面については、当ブログの独立した記事”最後の最後まで安倍元首相について熟読させる読売新聞はやっぱりすごい”を参照)

それでは、読売社説は、何が「国際的な視点が欠けている」と主張しているのかというと、「警察当局の対応」や「官邸の半旗掲揚」が遅いといった内容。正直言って、「『特定の宗教団体』とのかかわりをなかなか報道しなかったお前が言うな」的な内容だが(個人の感想です)、おそらく、社説(とその周辺)が取り上げたかったのは、その二つではないと思われる。その二つの間には、なぜか、「北海道警のヤジ排除違法判決」について言及しており、おそらくこれが読売社説が言いたかったことだと考えられる。(個人の予測です)

不思議なのは、「ヤジ排除」について、今回のテーマである「国際的な視点」を考慮せずに取り上げており、「与えた影響は明確ではないが」[社説]といいつつも「規則の必要性」などとして、違法判決にケチをつけるような言い方をしている。(個人の感想です)

よく分からないのが、ヤジの「表現の自由」に対して、「演説を静かに聞きたい聴衆の権利はどうなるのか」[社説]という理屈で、(権力者にとって都合の悪い)ヤジを(権力者が警察を使って)防げることができる、と読売社説は思っているかのようであることだ。「静かに聞きたい」というのなら、拡声器を使ってがなり立てるなという話だし、そもそも、演説を聞きたくもないし静かにして欲しいと言う人の権利はどうなるのか、という話だ。これこそ、「国際的な視点」に欠けているのではないか。

ここまでくると、冒頭で「タイトルサギ」と言ってしまったが、実は、読売社説は自分のことを「国際的な視点に欠けている」と言いたかったと裏読みすれば、読売社説は、ある意味タイトル通りで、やっぱりすごい。


過去の「今日も読売新聞はやっぱりすごい」は、

今日も読売新聞はやっぱりすごい(2017年)[2017/10/7~2017年末]
今日も読売新聞はやっぱりすごい(2018年上半期)[2018/01/01~2018/06月末]
今日も読売新聞はやっぱりすごい(2018年下半期)[2018/07/01~2018年末]
今日も読売新聞はやっぱりすごい(2019年上半期)[2019/01/01~2019/06月末]
今日も読売新聞はやっぱりすごい(2019年下半期)[2019/07/01~2019年末]
今日も読売新聞はやっぱりすごい(2020年上半期)[2020/01/01~2019/06月末]
今日も読売新聞はやっぱりすごい(2020年下半期)[2020/07/01~2020/12月末]
今日も読売新聞はやっぱりすごい(2021年上半期)[2021/01/01~2021年6月末]
今日も読売新聞はやっぱりすごい(2021年下半期)[2021/07/01~2021年末]
今日も読売新聞はやっぱりすごい(2022年上半期)[2022/01/01~2022年6月末]


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