新聞紙面をフルに使ってネットでは伝わらない内容を伝える読売新聞(2022/03/03)はやっぱりすごい

「ネットニュースでは自分の興味のある内容の見出しが羅列されるだけだから広がりがない。それに対して、紙の新聞は多様な意見を・・・」

というような論調が、新聞社側から表明されることはよくある。(個人の感想です)

確かにそういう傾向はあるだろうが、そんなものはネットだろうが紙面だろうが個人の意識次第でどうにでもなるだろう、と私は心の中でそう思っていた。(個人の独白です)。

ところが、そんな私の思い込みは完全に否定された。

2022年3月3日の読売新聞朝刊は、紙の新聞ならではの「報道(広告)」を、見事に行っていたのである。

読売新聞のすごさを伝える私のメモ書き程度の内容(当ブログ記事”今日も読売新聞はやっぱりすごい(2022年上半期)”「 ・2022/03/03(水)朝刊、政治面4面ほか 」)では伝わらないと思うので、今回は独立した記事にして、画像を交えながら(あえてネットのブログで)詳しく説明したい。

紙の新聞のすごさを、「身を切る」ように、見事に伝えさせる読売新聞はやっぱりすごい。

2022年3月3日読売新聞政治面の「批判」記事がすごい

2022年3月3日の読売新聞朝刊で、まず目についたのは、

参院委 疑惑追及 立民に批判
「ウクライナ優先すべきだ」

読売新聞2022年3月3日、大阪本社版13S政治面4面。

の記事。

「批判の声が出た」、「新たな追及材料には乏しく」、「慎重な答弁でかわした」、「関係者によると(中略)という」、「との見方も出た」、「との声も根強い」(以上同上記事より部分引用)・・・と言った、このテの記事でおなじみの表現が並び、テンプレートがあるかのような印象。正直、「政治ニュースではなく、誰かから依頼されたような政治的な主張を載せる、いつもの読売の政治面ね」という内容なのだが(個人の感想です)、せっかくなので、そのすごさを解説しておこう。

まずすごいのは、疑惑を追及される側ではなく、追及する側を「批判」する点だ。しかもその(表向きの)理由が、見出しにある通り、「ウクライナ優先すべきだ」。

読売新聞を「熟読」している人であれば、「優先」しているのは「疑惑の追及の絶対阻止」じゃないの、と思わずツッコんでしまうところだ。(個人のツッコミです)。

そもそも、仮に、読売(の見出し)の言うように「ウクライナ優先」にするのなら、そんな「立民に批判」なんかの記事を「優先」する読売新聞こそ「批判」されると思うのだが。

それはそれとして、(表向きでも)「ウクライナ優先」と理由にしているのだから、その内容については、記事で「優先」して書いているのだろう、と「普通」ならそう予想する。

ところが、記事には、その参議院予算委員会で、ウクライナ関連でどのような質疑が具体的に行われたのかは、何も書いていなかった。

さらに不思議なのは、2日の参院予算委で、自民党の議員は「ウクライナ優先」で「7割強」も質問している(「※読売新聞調べ」)そうなのだが、その自民党議員らが具体的にどのような質問をしたのかが、読売は当日の紙面で何も説明していないのだ。

通常、予算委員会での「詳細」や「要旨」は、政治面に限定せずに「〇面で関連記事」のような形で載ってたりするものだが、3/3の朝刊にはその質疑の詳細や要旨が掲載されていない(個人の確認です)ので、予算委で誰が質問して誰が何を答えたのかよく分からないものになっている。あれだけ「ウクライナ優先」と見出しにまでしているのに。

一応、当日の読売新聞を「熟読」して見ると、その「批判」記事の隣と下に、参院予算委での内容をうかがわせることが書いてあることはある。ただ、両方とも、記事冒頭に、

”岸田首相は(、)2日の参院予算委員会で、「(省略)」と強調した。”

とまるでテンプレートに沿ったかのような書き出し(同上、同面。引用者により省略と説明加工あり)。(この二つの書き出し記事は、「」内の内容以外はほぼ同一だが、「岸田首相は」と「2日の」の間に読点「、」が入っているかいないかの違いがあった。この違いも意味不明だが)。

これらの記事も、誰の質問に対する答弁なのかの説明もないため、想像するしかない。仮にこれが立民議員による質問の答弁だったら、批判以外の質問をしていることを強調してしまうことになり、都合が悪いから隠したんだろうな、と想像させてしまう。「(岸田首相が)強調した」という割には、「立民に批判」よりも扱いが小さく、同じ表現を繰り返すテンプレート色の方が強めのため、政治面全体を見ると、結果的に、「強調」色は逆に弱めになってしまっている。「強調」したいはずなのに。(個人の印象です)。

読売新聞2022年3月3日朝刊(大阪本社版13S政治面4面)の一部を撮影し、引用者によって説明を加えた(加工2022-03-06)

結局のところ、当日の読売新聞では、2日の参院予算委で「ウクライナ侵攻」について具体的に何が議論されていたのかは、その隣と下にある記事で、(誰とはわからない質問に対して)「岸田首相が」(何かを)「強調した」以外のことは分からなかった。(個人の理解度です)。

「ウクライナ優先すべき」と見出しにしながら、「立民に批判」を優先する読売新聞は、政治面で政治的すぎてやっぱりすごい。

[追記2022/03/08:2022年3月8日の読売新聞朝刊の政治面(大阪本社版13s4面)には、「論戦の詳報 7日の参院予算委から」の欄が設けられていた。(詳報を載せなかった)3日の「立民に批判」の記事の約半分の大きさ(※個人調べ)だった。読売政治面は、「論戦の詳報」<「ウクライナ」<「立民に批判」という「優先」順位が付けられていることが、証明されたかもしれない。追記以上]

「批判」するために持ち出した表もすごい

記事本文だけでなく、それについていた表のすごさも、説明しておいた方がいいだろう。

まずはその表を見てもらった方が早い。

読売新聞2022年3月3日朝刊政治面4面(大阪本社版13S)同上記事内の表を切り抜いて、引用者によって説明を加えた図。(加工2022-03-06)

見出しで「ウクライナ優先すべきだ」と「立民に批判」してるので、立憲民主党の質問テーマで「疑惑」追及の割合がトップかと思いきや、この表を見ると、「ウクライナ関連」が一番多く、半分近く占めていた。立憲民主党も「ウクライナ優先」していたという、見出しとは真逆の内容だった。

それだとバツが悪いと思ったのか、自民党の質問テーマの割合も掲載し、比較できるようにしている。確かに、自民党の質問では「ウクライナ関連」の割合は多いものの、逆に、立民が質問をした「新型コロナ関連」が自民党には含まれていないことが判明した。(「※読売新聞調べ」を「調べ」た個人的確認によるもので、実際はどうだったのかは当ブログでは保証しません。詳しくは読売新聞にでも聞いてください。)

そもそも、この表には「※読売新聞調べ」という注釈しかなく、具体的な点がよく分からない。その計測した割合は、質問時間だけなのか答弁時間も含めたものなのか、テーマ別の分類はどのような基準で行ったのか。記事本文には、政府による経済安全保障推進法関連での担当者更迭について立民の議員が質問したことが書かれているが、これをもって、経済安保法での質問はすべて「疑惑」に分類したんじゃないかと言う「疑惑」も感じた。(個人の感想です)。そういった、細かい疑問に対しては、「 ※読売新聞調べ 」で説明したつもりになっているのだろうか。まるで「※個人の感想です」レベルの注釈だ。(しつこいようですが個人の感想です)。

根拠がよくわからない「※読売新聞調べ」というどうとでも取れる注釈で逃げ道を作ってもなお、記事内容の趣旨を補強しない表を作って載せているかのような、今回の記事は、すごすぎて、私には、この記事の意図がよく分からない。

ついでに言うと、記事本文では「(テーマが事前に設定された集中審議で)ほかの議題を取り上げることは禁止されていない」との、記事の論旨に反する一文を忍ばせている。言い訳のためなのか、それとも(こんな記事を「書かされた」記者なりの)抵抗なのか、これもよく分からない。

記名記事ではないので、記事を書いた記者と、表を作成した人、編集者(や外部の関係者)を含めて、この記事に関わった人たちの連携が取れているのか、人間関係がどうなっているのかが気になってしまう、読売新聞政治面はやっぱりすごい。

[追記2022/03/08:2022年3月8日の読売新聞朝刊の政治面(大阪本社版13s4面)に、”北方領 首相「日本固有」”の記事で、与野党から「ロシア経済分野協力担当相」にも「批判が集まる」としていて、「立憲民主党の杉尾秀哉氏も今月2日の参院予算委で廃止を求めた」との記述が。5日前の上記記事にはなかった内容で、いまさらなんだかな―、と言う感想しかないが、ここでもまた、読売が5日前の記事では「ウクライナ」よりも「立民に批判」を優先していたことが証明された。ところで、「ロシア経済分野協力担当相」の件は、「与党」からも「苦言を呈し」(※読売新聞調べ)ているそうなので、仮に与党議員がこの件を質問した場合、テーマが「ウクライナ関連」になるのか「政府・自民の疑惑」になるのかは不明(読売新聞に聞いてください)。追記以上]

政治面の広告欄と社会面での『USO放送』の連携具合がすごい

当日の政治面のすごさは、記事だけにとどまらない。

2022年3月3日の読売新聞朝刊の政治面には、下部に、週刊文春の広告が載っていた(週刊文春3月10日号)。

「スキャンダル追及」[同上記事]と批判しておきながら、その同じ紙面の下の欄で週刊文春の広告を載せるところが、まず、すごい。

ところで、当日の政治面には、上記で取り上げた「立民に批判」記事のほかにもいくつかのトピックスを含めた記事があるのだが、政治面での記事に掲載された政党名を確認したところ、「自民党」、「立憲民主党(立民)」が複数個所あり、あとは、参院での露非難決議で「れいわ新選組を除く」と一ヶ所あるだけで、他の政党名は記事にはなかった。(「※個人による当日の読売新聞政治面調べ」)

一方、当日の週刊文春の広告には、「維新最高幹部」、「維新新人議員」と2か所、政党名が載っていた。

まるで、広告も含めることで、政治面では特定の政党に偏りなく掲載しています、と主張しているかのようだ。(個人の感想です)。

どっちが記事でどっちが広告なのか、分からなくなるような読売新聞の政治面はやっぱりすごい。

ところで、「維新」の名前は、政治面の記事にはないけど広告欄には載っているという、微妙な取り上げ方で、たまたまなのか、意図的なのか、どうとでも取れるのだが、当日の社会面を見たとき、私は、「これはわざとじゃないか」と、確信するにいたった。(個人の確信です)

分かりやすいように、当日の政治面での広告欄と社会面「USO放送」欄の一部(と周辺)を切り抜いて加工して、並べる。

読売新聞2022年3月3日朝刊(大阪本社版13S)、政治面4面の広告欄、社会面34面「USO放送」の一部(とその周辺)を切り抜き、一部加工して並べ、引用者によって説明を加えた図(加工2022-03-08)

まず、「USO放送」について説明しておきたい。読売新聞読者であれば説明不要だが、簡単に言えば、読者による時事ネタ投稿欄だ。

ネタを説明するというのは無粋かもしれないが、今回掲載されていたネタについては、時事ネタということもあり、時期が過ぎ去ってから読んだ人には何のことかわからない場合があるので、個人的に補足をしておきたい。

タイトルの「反プーチン」というのは、今まさに「ウクライナ優先」な内容だ。そして、プーチンに友好のために日本から秋田犬を送った話が有名で、それにかこつけて、プーチンに対して「尻尾は降らない」秋田犬、と表現することで風刺している。

時宜にかなったネタであり、権力者のプーチンを風刺しており、時事ネタとしてもよくできている。投稿者様の才能には賞賛しかない。

ただ、そんなすぐれた作品に対し、読売新聞は、編集レイアウトを駆使し、更なるウケを狙ってきた。(個人の感想です)

これもネタを説明するという無粋な行為ではあるが、気づかない人もいる(ひょっとしてとは思うが、読売新聞社も気づかずにやっている可能性もゼロではない)かもしれないので、あえて説明したい。

まず、プーチンと秋田犬の関係だが、有名とはいえ、数年前の出来事であり、タイムリーさには欠ける。むしろ、今、秋田犬で話題になっているのは、週刊文春での広告見出しにある件だ。この件を読売が政治面(の記事)で取り上げた記憶はないが(個人の記憶です)、今回のように政治面の広告面で見出しで間接的に知らせることで、「秋田犬=維新」の連想をアシストしているかのように見える。

そうなると、投稿の本文にある「ぜったい尻尾は振らない」と言う表現も、実は、読売新聞社としての維新に対しての皮肉なのかとも思えてくる。言わずもがなだが、読売新聞大阪本社が大阪府と包括連携協定を結んだことも連想してしまう。(個人の連想です)。

もちろんこれだけであれば、単なる偶然に過ぎない。たまたま、秋田犬ネタが被っただという話だ。

ところが、今回の「USO放送」欄の隣には、お知らせが載っていた。

*連載「暴対法 施行30年」休みました。

(引用者注:冒頭の「*」の原文は、表記の記号を約45度回転させた形。変換できなかったので代用しました。)

読売新聞2020年3月3日朝刊。大阪本社版13s社会面34面。

先日から社会面で連載していた「暴対法 施行30年」を、当日も掲載予定だったのに、休載したことのお断りの文。

これをわざわざ、今回の「USO放送」の隣に載せた。

”ぜったい尻尾は振らない”、”連載「暴対法 施行30年」休みました”

この並びを見たとき、私は確信した。

読売はわざとやっている―(個人の確信です)

政治面で「ウクライナ優先」と言いながら「立民に批判」を優先。

維新と秋田犬協会と暴力団の関係の件は、広告欄で見出しだけで「報道」。

「ぜったい尻尾は振らない」との投稿の横に「暴対法(省略)休みました」。

私には、「ぜったい尻尾は振らない」と言いながら、一生懸命、尻尾を振っている姿が見えてきた。(個人の幻覚です)

今回の件は、ネットニュースでは伝えきれない、新聞紙面の総合力ということを見せつけられた。(ただ、新聞に載ってる週刊誌広告もネットニュースでの見出しと変わらないと言えば変わらないが。)

それを見せつけるために、「身を切る」ように、自らの紙面で一生懸命シッポを振っている姿をさらした読売新聞(※個人調べ)は、やっぱりすごい。


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